- 会員限定
- 2015/04/17 掲載
熊本県人吉市のハラール対応による地方創生の試みから何を学ぶか:篠崎彰彦教授のインフォメーション・エコノミー(61)
過去を省みて今後の潮流を読む
地域経済の活性化は、以前から長く議論されてきたことであり、重要なことは、一時的な効果ではなく「持続可能な」具体策に着手することであろう。高度成長期は、企業や産業を誘致することに力点が置かれ、低成長に入ってからは、公共事業によるテコ入れが盛んに行われてきたが、現在の企業戦略や財政事情に鑑みて、こうした方策は、以前ほどの効果は期待できそうにない。
なぜなら、従来の路線では、人件費や土地代の安さ、あるいは、税金の低さを競い合ったり、国の計画をもとに画一的な事業が各地で展開されたりしがちで、必ずしも、それぞれの地域が長い時間をかけて、地理的・歴史的に築いてきた特性を充分に活かしきれなかった面があるからだ。
たびたび語られてきた活性化策を「絵にかいた餅」で終わらせないためにも、過去の反省に立ち、時代の潮流を読み取ることが大切だ。今後は、地元の特徴や個性とその強みをよく再認識したうえで、「グローバル化と情報化」の波にうまく乗ることが欠かせない。
内なるグローバル化をキャッチした戦略
前回解説したように、このところ訪日外国人旅行者が大きく増加している。今年の春節には、中国人旅行者の“爆買”が注目されたが、実は、この他にも、インドネシアやマレーシアなど、世界で最もイスラム教徒が多い地域の東南アジアから来日する旅行者も増えている。
周知のとおり、イスラム圏では、豚肉とアルコールはタブーであり、食材は「ハラール」という特殊な手順の処理で提供する必要がある。ところが、日本には「ハラール」対応できる食肉加工施設が実はあまり多くない。
国内には、約200か所の食肉加工工場があるとされるが、そのほとんどは、豚肉と牛肉の両方を処理していて、牛肉だけの加工施設は10か所程度といわわる。しかも、ハラール対応の施設はほんのわずかで、そのひとつが人吉市の隣町の錦町(人口1.1万人)にある。
人吉市はそこに着目し、関連する企業などと連携してハラール対応の食材を提供する拠点にしようとしているのだ。
【次ページ】地方創生に向けた3つのインプリケーション
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
投稿したコメントを
削除しますか?
あなたの投稿コメント編集
通報
報告が完了しました
必要な会員情報が不足しています。
必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。
-
記事閲覧数の制限なし
-
[お気に入り]ボタンでの記事取り置き
-
タグフォロー
-
おすすめコンテンツの表示
詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!
「」さんのブロックを解除しますか?
ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。
ブロック
さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。
さんをブロックしますか?
ブロック
ブロックが完了しました
ブロック解除
ブロック解除が完了しました