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  • 2015/05/01 掲載

マイナンバー制度対応、なぜ人事/給与の制度改革にも同時に取り組んだほうがよいのか

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マイナンバー制度はすべての企業が2015年中に取り組むべき最も重要な法制度の一つだ。だが、中堅・中小企業が人事/給与に関連して取り組むべき事柄はマイナンバー制度だけではない。一部の業種では人材不足も大きな課題の一つだ。有能な人材を確保するためには人事/給与の制度面での改善も忘れてはならない取り組みとなる。そこで、今回はマイナンバー制度への対応と合わせて取り組むべきトピックについて考えていくことにする。
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(© ra2 studio - Fotolia.com)

マイナンバー制度とはあらゆる企業が対象、罰則規定もあり

 マイナンバー制度については、2015年に入ってから情報量も格段に増えてきた。既にWebサイトなどで各種の解説を読まれた方も少なくないだろう。しかし、中堅・中小企業の方々からは「情報量が多すぎて理解できない」という声を聴くこともある。そこで、まずはマイナンバー制度のポイントを整理しておこう。

マイナンバー制度とは
「国民一人一人に番号を割り振ることにより、税/社会保障/災害対策における行政の事務や手続きを効率化/精緻化する国の施策」のこと。年金/福祉/医療などにおいて適切な行政サービスが提供されるためには国民の所得を正確に把握する必要がある。そのため、単に国民一人一人に番号を付与するだけでなく、給与を支払う企業側においてもさまざまな対応が必要となってくる。

 では企業側に求められる対応事項とは何だろうか。簡単にまとめると以下のようになる。

企業が取り組むべき主な事柄:
  1. 利用目的を明示した上で、従業員のマイナンバーを収集する
  2. 退職者データの破棄など、マイナンバーの適切な管理/保管を行う
  3. 源泉徴収票や扶養控除等異動申告書などの書類に、該当する従業員のマイナンバーを記載する
  4. 社外の人材に報酬を支払った場合(デザイン作成やセミナー講演の依頼など)には、各種の支払調書に対象者のマイナンバーを記載する
  5. 国民年金の第3号被保険者の届け出では従業員だけでなく、扶養家族のマイナンバー収集においても本人確認を行う

連載一覧
 上記に挙げた「企業が取り組むべき主な事柄」は、マイナンバー制度において企業の対応が義務化される事項のごく一部に過ぎない。だが、これだけを見ても、「単に人事/給与システムにマイナンバー用の項目を増やす」というだけでは済まないことが理解できるだろう。

 また、「日本版SOX法(主に上場企業が対象)」、「個人情報保護法(一定件数以上の個人情報を保持する企業が対象)」、「省エネ法(一定量を超えるエネルギーの消費がある企業が対象)」などといった従来の法制度と異なり、マイナンバー制度はすべての企業が対象となる。

 さらに、義務化はされているが罰則規定のない「メタボ検診」と異なり、明確な罰則規定(故意の個人情報漏えいなどに対しては最高で懲役4年の実刑など)も設けられている。

対策が遅れている現状は逆にチャンスでもある

 このように中堅・中小企業に対しても大きな影響を及ぼすマイナンバー制度だが、企業側の対応は必ずしも万全とはいえない。以下のグラフは従業員数500人未満の企業に対し、マイナンバー制度への取り組み状況を尋ねた結果である。

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マイナンバー制度への取り組み状況(従業員数500人未満)

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 これは2015年1月に実施した調査の結果だが、「内容を理解しており、自社で対応すべき事項もすべて把握している」と回答した企業は12.5%に留まっている。逆に言えば8割近くの企業はマイナンバー制度において何をすべきか?をきちんと把握していないことになる。

 2015年10月には個人に対してマイナンバーの配布が始まり、2016年1月は実際の運用が開始される。つまり、2015年末までに企業はマイナンバー制度への対応を終わらせる必要があるわけだ。となると、中堅・中小企業における対策はかなり遅れている状況といえる。

 こういった現状を中堅・中小企業はどう捉えるべきだろうか? 運用開始までに残された時間を考えれば、早急な対策の実施が求められる。

 だが、既に述べたようにマイナンバー制度への対応は、単に人事/給与システムにマイナンバー用の項目を追加すれば済むというわけではない。無理にことを急げば、マイナンバー収集における本人確認の業務フローなどが粗雑になり、返って個人情報漏えいのリスクを高めることにもなりかねない。

 人事/給与システムや業務フローに大きな影響を与える取り組みであるならば、逆に腰を落ち着けて「他にも一緒にやれることはないか?」を検討してみることが賢明だ。つまり、人事/給与に関連する課題のうち、マイナンバー制度と合わせて改善できるものはないか?を考えてみるわけだ。

【次ページ】人事/給与システムの課題解消を同時に実施したほうがよい理由
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