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2020年1月にはWindows 7 SP1の延長サポートが終了する。2019年からは中堅・中小企業においてもPCの入れ替えが活発になっていくと予想される。Windows 8.1の延長サポート終了が2023年1月であることを踏まえると、それ以降もサポートが継続するWindows 10を選択するユーザー企業が多くなると予想される。だが、Windows 10にはこれまでのWindows OSと大きく異なる点がある。それが「WaaS(Windows as a Service)」だ。WaaSとは何か?企業が知っておくことは何か、探っていこう。
WaaSとは何か?これまでのWindowsと何が違うのか
まず、「WaaS」とは何か説明していく。従来のWindows OSではWindows 7からWindows 8.1などのような「メジャーバージョンアップ」に加えて、「サービスパック」として新たな機能が提供されてきた。Windows 7 SP1の「SP1」がまさにその「サービスパック」に該当する。
Windows OSを利用する上では常に最新の「サービスパック」を適用していくことが望ましいが、従来はある程度の時間的猶予が存在していた。たとえば、Windows 7 SP1が提供開始されたのは2011年2月だが、Windows 7(SP無)のサポート終了は2013年4月となっていた。
つまり、SP1の適用には2年程度の猶予があったことになる。こうした過去の経緯を踏まえると、「Windows 10においても、数年に1回くらいの頻度でサービスパックを適用すれば良く、それ以外にOSの機能が変わることはないだろう」と考えている方も多いのではないだろうか?
Windows 10では、従来の「サービスパック」に相当する「機能更新プログラム」が年2回ネットワークを介して提供される。これによってWindows 10ではバージョンという概念がなくなり、半年ごとに新たな機能が加わっていくことになる。
ここで重要なのが、それぞれの「機能更新プログラム」が適用された状態のサポート期間は18カ月間となっている点だ。そのため、継続的にサポートを受けるためには、新たな機能が不要だとしても「機能更新プログラム」の適用を続けていく必要がある。
つまり、「モノ+サポート」という考え方ではなく、常に新たな機能を提供する「サービス」としてOSを捉えているわけだ。こうした新たなWindows OSの在り方が「WaaS(Windows as a Service)」(=サービスとしてのWindows)である。
上記に述べた「年2回の機能更新、それぞれのサポート期間は18カ月間」という形態は「Semi-Annual Channel(SAC)」と呼ばれる。組み込み機器など「機能更新プログラム」の適用が難しい特殊な用途向けには数年単位で現状のOS状態を維持できる「Long-Term Servicing Channel(LTSC)」という形態も用意されている。ただし、いくつかの制約もあるため、中堅・中小企業が自社のPC環境に適用できるのは実質的に「Semi-Annual Channel(SAC)」となってくる。
したがって、Windows 10に移行した後は
機能更新プログラムが現在のPC環境に影響をどのように検証するか?
PCごとに個別に機能更新プログラムを反映するか、それとも全社で一括して反映するか?
などについて綿密な計画を立て、年2回の頻度で実行していく必要が生じてくる(ただし、サポート期間が18カ月間であるので、2回に1回の頻度で機能更新プログラムを適用するという選択はありうる)。
いずれにしても、「WaaS」は中堅・中小企業におけるPC管理/運用にも大きな影響を与える変化といえるだろう。
「機能更新プログラム」は利点でもあり課題でもある
多くの中堅・中小企業は「WaaS」をどのように捉えているのだろうか?以下の2つのグラフは年商500億円未満のユーザー企業700社を対象に「WaaS」を含むWindows 10の概要を説明した上で、「Windows 10の利点と考えられる機能や特徴」および「Windows 10導入における課題」をそれぞれ尋ねた結果である。
図1に赤帯で示されているように、「Windows 10の利点と考えられる機能や特徴」で回答割合が最も高いのは「ネットワーク経由の更新で新たな機能が追加される」ことである。これは「WaaS」における「機能更新プログラム」にほかならない。自社にとって便利な機能であれば、そうした機能がネットワークを介して無償で手に入るのは大きな利点といえるだろう。
一方、図2に赤帯で示されているように、「Windows 10導入における課題」で回答割合が最も高いのは「必要のない機能が更新によって追加されてしまう」という項目だ。
この項目が指しているのも、「WaaS」の「機能更新プログラム」である。確かに、自社では必要のない機能が社内のPCに適用されてしまうと、「画面や操作が勝手に変わった」などの混乱が生じる可能性もあるだろう。
このように「WaaS」の「機能更新プログラム」はユーザー企業にとって利点と課題の両方の側面を持っていることが確認できる。そして、それが個々のユーザー企業の利点となるか?それとも課題となるか?の違いは「機能更新プログラム」で提供される新たな機能が自社の望む機能なのかどうかによって変わってくるわけだ。
【次ページ】WaaSにおいて、まず企業は何を知っておくべきか
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