• 会員限定
  • 2018/05/22 掲載

Windows ServerのLTSCとSAC、何が違うのか? 適材適所を理解する

連載:山市良のマイクロソフトEYE

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
前回まではWindows 10の半期チャネル(SAC)について説明してきましたが、今回はWindows 10と同様のSACによるサービス提供が、サーバOSのWindows Serverでも昨年から始まっていることについて説明します。Windows ServerにおけるSACとLTSCの考え方は、Windows 10のそれとは少し異なります。
photo
Windows ServerでもSACが始まり、従来のLTSCも残る中、どちらが何に適しているのか?
(©vectorfusionart - Fotolia)

サーバOSのWindows ServerでもSACが始まった

 前回までに説明したように、クライアントOSのWindows 10は「Semi-Annual Channel(SAC、半期チャネル)」という半年ごと(3月頃と9月頃)のリリースサイクルで新バージョンが提供され、モダンライフサイクルポリシーに基づいて各リリースは18カ月間、品質更新プログラムが提供されます。その後も品質更新プログラムの提供を受けるためには、サポート対象のより新しいバージョン(ビルド)に機能更新プログラムまたはその他の方法でアップグレードする必要があります。

 このWindows 10の半期チャネルと同じサービス提供形態が、2017年10月よりサーバOSのWindows Serverでも始まりました。それは、Windows Serverのソフトウェアアシュアランス(SA)契約者が選択可能なWindows ServerのSKU(製品単位)である、Windows Server Semi-Annual Channelです。

 Windows 10 Fall Creators Update(バージョン1709、OSビルド16299.x)と同じビルドをベースとした「Windows Server, version 1709」が、Windows Server SACとして初めてのリリースになります。Windows ServerのSACリリースはWindows 10と同様に18カ月の品質更新プログラムのサポートが提供されます。2018年5月7日(米国時間)には、SACリリースの最新バージョン「Windows Server, version 1803」の提供が始まりました。

従来の提供形態もLTSCとして残り、後継はWindows Server 2019

 Windows Server SACの提供が始まった一方で、従来の固定ライフサイクルポリシーに基づいた、最低10年(メインストリーム5年+延長サポート5年)の長期サポートが提供されるWindows Serverの扱いは、今後も変わることはありません。こちらはWindows Server SACの開始にあわせて、「Long Term Servicing Channel(LTSC)」と呼ばれるようになりました。つまり、Windows Server LTSCリリースの最新バージョンは「Windows Server 2016」であり、Windows Server, version 1709やversion 1803はWindows Server 2016の後継バージョンというわけではありません。

 Windows Server 2016の後継バージョンは、「Windows Server 2019」という名称で、2018年後半リリースが予定されています。図1に、Windows ServerのLTSCとSACのリリースサイクルを図示しました。また、表1に、サポート期限などをまとめました。図1から想像できるように、Windows Server SACは、同時期にリリースされるWindows 10と同じビルドベースです。また、Windows Server 2019は、Windows 10バージョン1809やWindows Server, version 1809と同じビルドベースになる予定です。

画像
図1 Windows Server LTSCとSACのリリースサイクル
画像
表1 Windows Server LTSCとSACのサポートポリシーとサポート期限

LTSCとSACの機能差は

 Windows Server LTSCはコアベースのサーバライセンス(永続ライセンス)であり、Windows Server SACはサーバライセンスに加えてソフトウェアアシュアランス(SA)契約を必要とします。

 Windows Server LTSCとSACで最も大きな機能的な違いは、インストールオプションでしょう。Windows Server LTSCは「デスクトップエクスペリエンス」(Windows Server 2012/2012 R2ではGUI使用サーバと呼ばれていたもの)と、GUI機能を削除した「Server Core」の2つのオプションがあります。一方、Windows Server SACは「Server Core」のみになります(画面1)。そのため、複数のデスクトップユーザーをサポートするリモートデスクトップサービス(RDS)の役割は含まれません。

画像
画面1 インストールオプションの違い。左がLTSC(Windows Server 2019 Insider Preview)、右がSAC

 Windows Server 2016にはもう1つ「Nano Server」というインストールオプションがあり、物理サーバや仮想マシン環境にインストールすることができましたが(ただし、LTSCではなく、SAに基づいて提供されます。現在のSAC相当の位置付け)、これは廃止されました。Windows Server SACでは、Windows コンテナのベースOSイメージとしてのみNano Serverイメージ(microsoft/nanoserver:latestまたはsac2016、microsoft/nanoserver:1709、microsoft/nanoserver:1803...)が提供されるようになりました(画面2)。

画像
画面2 Windows Server, version 1709のDocker環境で動作するWindows Server, version 1709ベース(10.0.16299.x)のNano Serverコンテナと、Windows Server 2016ベース(10.0.14393.x)のNano Serverコンテナ

 このほか、Windows Server SACリリースには、Hyper-Vなどのコア機能の機能強化や、「Windows Subsystem for Linux(WSL)」やWindows Server上のDockerでのLinuxコンテナのサポート(現在、プレビュー)といった新機能の追加などがあります。SACに先行的に提供されるこれらの機能強化や新機能は、その後のLTSCリリースにも搭載されることになるでしょう。一方で、主にコンテナーやアプリケーションに注力したSACは、ソフトウェア定義のデータセンターの機能(記憶域スペースダイレクト、ソフトウェア定義ネットワーク、シールドされた仮想マシン)を含みません。これらの機能はLTSCリリースのDatacenterエディションが提供することになります。

 なお、現在、プレビュー提供中のWindows Server 2019 Insider Previewは、リモートデスクトップサービスの仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)ベースの展開のための機能のみを備えており、セッションベースの役割(リモートデスクトップセッションホスト)が搭載されていません。セッションベースのリモートデスクトップサービスが今後、どのようなものになるのかは、現時点では不透明です。

【次ページ】 LTSCとSAC、どちらが何に適しているのか
関連タグ タグをフォローすると最新情報が表示されます
あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます