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- 2014/10/08 掲載
情シス視点でみた、Windows Server 2012 R2移行の12個のメリット
【連載】Windows Server 2003サポート終了対策(最終回)
Windows Server 2012 R2のエディション
しかし、Windows Server 2012では、主に「Standard」と「Datacenter」の2エディションにまとめられた。StandardとDatacenterには機能差はなく、Windows Serverが持つすべての機能をフルに使えるようになっている。StandardとDatacenterの違いは、ライセンス周りの違いだけだ。
さらに「Essentials」と「Foundation」という廉価版エディションも用意されている。いずれもHyper-Vは利用できないが、最大ユーザー数と最大CPUソケット数に違いがある。
そのほか、仮想化機能に特化した「Microsoft Hyper-V Server 2012 R2」やストレージ向けの「Windows Storage Server 2012 R2」などもある。
Datacenter | Standard | Essentials | Foundation | |
最大ユーザー数 | ライセンスベース | ライセンスベース | 25 | 15 |
最大SMB接続 | 16,777,216 | 16,777,216 | 16,777,216 | 30 |
最大RRAS接続 | 無制限 | 無制限 | 50 | 50 |
最大64ビットCPUソケット数 | 64 | 64 | 2 | 1 |
最大RAM | 4TB | 4TB | 64GB | 32GB |
ドメイン参加 | ○ | ○ | マイグレーションのみ | マイグレーションのみ |
Hyper-V | ○ | ○ | × | × |
Active Directory Certificate Services | ○ | ○ | ○ | ○ |
重複排除 | ○ | ○ | × | × |
フェイルオーバークラスタリング | ○ | ○ | × | × |
ライブマイグレーションとレプリケーションがOS標準で実現できる「Hyper-V」
1.ポータビリティとしてのHyper-VWindows Server 2012 R2に移行する最大のメリットだと筆者が感じるのは、Hyper-Vによる「仮想化」だ。Hyper-Vは、Windows Server 2008から備わったため、当然Windows Server 2003には存在していない。また、Windows Server 2008のHyper-Vで発表された当時は機能も未熟だったが、Windows Server 2012 R2ではすでに第4世代を迎えており、劇的に使い勝手はよくなっている。
さて、仮想化というと、余ったCPUパワーを生かしたサーバの集積とそれによるコスト削減がよく言われているが、筆者は一番の良さを「動作環境のポータビリティ」だと感じている。Windows ServerをHyper-Vで仮想化すると、仮想化されたWindows Serverは物理的なハードウェアの制限がなくなり、仮想化されたWidnows Serverは他のサーバが提供しているHyper-V上に容易に移動することができる。
たとえば、かつてCPUパワー不足の対策のためにサーバを再構築するのは一大イベントだったが、仮想化した環境であればハイパワーなマシンに構築したHyper-V上に仮想マシンを引っ越すだけで対策が完了する。物理マシン上に構築した環境を移行するよりはるかに少ない手間で移行することが可能だ。
このポータビリティを得るために、追加ライセンスや追加製品購入などの追加投資は必要なく、OSの標準機能だけで実現できるのもWindows Serverの良さだろう。
2.MSFC不要の「ライブマイグレーション」
また、従来Windows Serverの機能を物理的に別のサーバに移動するには、フェールオーバークラスター(MSFC)を構築するのが必須となっていた。このMSFCの構築は、SANなどでCSV(Cluster Shared Volumes)を作る必要があり、技術的にも費用的にとてもハードルが高い環境であった。
しかし、Windows Server 2012 R2では、MSFCを使用せずに仮想マシンを別のHyper-Vへ仮想マシンを稼働したまま移動する「ライブマイグレーション」がサポートされている。そのため、パワー不足などの理由で環境移行する場合であっても、サービスを稼働させたままハイパワーマシンへの移行が可能だ。
3.物理マシンに引けを取らない仮想マシン
仮想環境で大幅にパフォーマンスダウンするようでは、仮想化のメリットがほとんど無くなってしまうが、Windows Server 2012 R2では物理マシンに引けを取らないリソース割り当てをすることが可能だ。いかに強化されているのかは2008 R2のHyper-Vと比較するとわかりやすい。
仮想マシンで割り当てたリソースはフルに扱うことができるので、物理マシンに匹敵するパフォーマンスを発揮する。また、仮想マシンが使用する仮想HDDも物理HDDに引けを取らないI/Oをたたき出すようになっている。
4.標準機能で災害対策ができる「Hyper-Vレプリカ」
重要サービスを提供しているサーバは、災害復旧用(DR)サイトを運用するのが常套だ。DRサイト運用は、サービスサイトで稼働しているサーバのバックアップを取得し、DRサイトにバックアップを搬送し、DRサイトにあるバックアップサーバにリストアする運用をしていることが多い。
その点、Windows Server 2012 R2 Hyper-Vには、仮想マシンを定期的にバックアップサーバにコピーする「Hyper-V レプリカ」が標準機能として提供されている。レプリカサーバをDRサイト(待機系)に設置し、 WAN経由でのレプリカ設定をすれば、Windows Server 2012 R2の標準機能だけで災害復旧用サイトへのレプリケーションができる。
また、Windows Serverのバックアップを、パブリッククラウドサービスのMicrosoft Azure上へ回避する「Azure Backup」を使えば、物理サーバなしでバックアップサイトが構築できる。
【次ページ】専用製品に迫る標準ストレージ機能
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