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- 2014/07/08 掲載
宮城県仙台市からITを世界へ、トライポッドワークス佐々木賢一 社長の挑戦
ノークリサーチ連載:中堅・中小企業市場の解体新書
トライポッドワークス社はどんな会社なのか?
ちなみに同社代表の佐々木賢一氏は創業前には、日本総研、日本オラクルと、純日本企業とグローバル企業というまったく性格の異なる企業戦士として奮闘してきた背景を持っている。
同社の主力ビジネスは中小企業のネットワークにおけるセキュリティシステム、ハードウェアとソフトウェアを組み込んだアプライアンス製品として提供する事業だ。ハードウェアもソフトウェアも競合製品は多いが、中小企業とアプライアンス、そして訪問販売、そしてリース販売、つまり中小企業にはお馴染のコピー機の販売と似たビジネスを主軸としている。
同社の立ち上げに際して、企業向けオンラインストレージ製品「GIGAPOD」を投入する際に重視したのは、「早く出す」ことだったという。セキュリティの対策はスピードが命。だから、今も「早く出す」ことにはこだわっている。
またセキュリティ製品は、米国、ロシア、イスラエル、韓国のベンダーの実績が高いということが分かっていた。中でも韓国のプロダクトはユニークなものが多い反面、日本市場においてはシェアがなかなか確保できていないという点に着眼して、韓国の技術を日本国内でも認められるように、品質面を補い、不足分をアドオンし、さらにはサポート体制も構築することで事業化。これが同社におけるセキュリティ事業の始まりである。さらには、中小企業にも導入しやすいように、アプライアンス製品に仕立てることで市場を確保した。
セキュリティ事業以外でも着目しているのが農業、医療などの事業だ。現在同社では大手メーカーやキャリアなどとの共同開発を通じて研究開発を行っている。
また、創業期には、国の競争的資金(注1)を積極的に活用しながら成長を遂げてきた。仙台という限定されたエリアであることがさまざまな制度情報の入手やキーマンとの人脈形成をしやすくし、佐々木氏のかつてのビジネスキャリアと相まって、同社の強みを生かせる分野となった。この点は後で詳しく言及するが、仙台を拠点にした理由のひとつでもある。
注1 競争的資金
研究課題などを(自組織内に限らず)広い範囲から募集して、応募してきた研究課題を評価づけし、それによって採用する研究(と採用しない研究)を分ける、という手順を経て、結果として採用された研究を行う研究者などに配分する(される)研究資金のこと
(出典:Wikipedia)
創業当初、競争的資金を活用した技術開発は、資金繰り面、ノウハウの蓄積において大きなプラスであり、同社を成長させる要因のひとつであったことは間違いない。
【次ページ】仙台市に本社を構える3つの理由とは?
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