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グループウェアが社内の情報共有を担うようになってから、すでに20年以上が経過している。その間、スケジューラ/掲示板/タスク管理など、グループウェアを構成する要素は基本的に変わっていない。だが、昨今ではビジネスチャットなどの新たな要素が加わりつつある。「DX時代に適したグループウェアの活用方法とは何か」を調査データを元に考えていくことにしよう。
中堅・中小企業のグループウェア導入シェア
日常生活のコミュニケーション手段としては、SNSに備わっているチャット機能が広く利用されているが、昨今ではこうした一般消費者におけるIT活用が企業にも取り入れられることが少なくない。
以下のグラフは代表的なグループウェア製品と企業向けのチャット製品/サービスであるビジネスチャットの中堅・中小企業(年商500億円未満)における導入社数シェアを示したものだ。
棒グラフのうち、オレンジ色で示している項目がビジネスチャットに該当する製品/サービスだ。Microsoft Office 365やサイボウズ Office、サイボウズガルーンのように導入社数シェアの上位はグループウェアが占めるものの、ビジネスチャットも徐々に浸透しつつある状況が確認できる。
上記は複数回答設問であるため、グループウェアとビジネスチャットを併用している場合には両方を回答する。実際、そうしたケースも少なくない。例えば、Microsoft Office 365の上位プランではMicrosoft Teamsも利用できる。同様にdesknet's NEOとChatLuckはいずれもネオジャパンから提供されている。
つまり、上記の結果はビジネスチャットがグループウェアを侵食しているのではなく、「グループウェア+α」としてビジネスチャットの導入が進んでいると捉えるべきだろう。
なぜビジネスチャットが台頭してきたのか
グループウェアが登場した当初、ビジネスのスピードは今より緩やかだった。1日に1回、まとまった内容を掲示板に掲載すれば、情報共有としては問題ないと考える企業も少なくなかった。つまり、情報共有の頻度は低く、粒度は大きかった時代と言える。
一方、昨今ではビジネス環境が時々刻々と変化する。競合他社の動きを踏まえて、一日の間に販売価格を頻繁に変更するという場面も珍しくない。こうした状況下では細かい情報を頻繁に社内でやりとりする必要がある。状況共有の頻度が高く、粒度が小さくなっているわけだ。
この「高頻度、小粒度」の情報共有に適しているのが、まさにビジネスチャットである。冒頭に示したグラフは情報共有の頻度と粒度の変化に応じて、グループウェアがビジネスチャットという新たなツールを要素として取り込んで進化しつつある状況と捉えることもできるわけだ。
さらに、With/Afterコロナの時代には対面の打ち合わせを極力避ける必要がある。対面の会話は「高頻度、小粒度」の最たるものと言えるだろう。それをリモートで実現する手段という点でも、ビジネスチャットは企業における今後の情報共有に不可欠な要素になっていくと予想される。
【次ページ】企業が抱えるグループウェア活用の悩みは?調査結果まとめ
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