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中堅・中小企業におけるワークフローと言うと、「グループウェアなどに付属する経費の申請/承認を行うアプリケーション」というイメージを持たれている方も多いかもしれない。だが、今後のワークフローは「業務の自動化を担う基盤」という新たな役割を担う可能性がある。実際にワークフローを導入している中堅・中小企業を対象とした調査結果を元にワークフローの将来像を探っていこう。
ユーザーの選択肢が広い、ワークフローの現在
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業に対して導入済みのワークフロー製品/サービスを尋ねた結果を2018年と2019年で比較したものだ。実際に選択肢として挙げた製品/サービスは多岐にわたるが、以下のグラフではその中から比較的導入割合の高い項目を抜粋している。
グラフからわかるように、ワークフローでは突出してシェアの高い製品/サービスはなく、さまざまな製品/サービスがシェアを分け合う状況となっている。一部の製品/サービスが大半のシェアを占める会計やグループウェアと違って、ワークフローはユーザー企業の選択肢が非常に広いわけだ。
本業に直結した業務にも広がりつつあるワークフロー活用
2018年~2019年の経年変化を見た時に留意すべき点が(1)
「コラボレーション(製品・サービス)の一機能として利用」、(2)
「ERP/基幹系システムの一機能として利用」、(3)
「独自開発システム」の3項目の変化である(グラフ中赤字)。
冒頭で述べたように中堅・中小企業においては、(1)に該当するグループウェアに代表されるコラボレーション分野の製品/サービスに付属するワークフロー機能を利用していることが多い。しかし、2018年~2019年にかけて減少していることわかる。一方、(2)や(3)は増加している。
(2)はERPや会計/販売などの基幹系システムにワークフローの機能が含まれているケースだ。
たとえば、新規に得意先や取引先を登録して売買を開始する際には一般的に上長の承認が必要となる。その際は相手の企業概要や関連企業の実績などの情報が必要となる。そのため、この場合にはさまざまな情報が蓄積されたERPや基幹系システムに付属するワークフロー機能を利用した方が効率的だ。
また、(3)の独自開発システムが必要となることもある。
たとえば、企業に向けに広告や販促のコンテンツを作成する企業の場合は社内だけでなく、依頼元の顧客企業にもコンテンツの確認や承認を依頼する必要がある。コンテンツの候補も複数存在するため、「案AはOKだが、案BはNG、案Cは要修正」などのように申請/承認の経路や条件も複雑となる。この場合は自社の業務に合わせて独自にシステムを開発する方が得策だ。
(2)や(3)が増加している背景にはワークフローを必要とする場面が経費の申請/承認だけでなく、上記のような本業に直結した業務にも広がりつつあることが大きな要因の1つとして考えられる。
逆に言えば、本業に関わる部分でワークフローを十分に活用できていない場合には日々の業務における意思決定が非効率になっているかもしれない。「A社向けの特別値引き販売について○○部長の了解は得たのに△△課長が難色を示したので、再度度申請書を作り直すことになった」などのシーンが目立つ場合には「本業における意思決定プロセスをワークフローで効率化できないか?」検討してみると良いだろう。
【次ページ】今後は「業務の自動化」を見据えたワークフローの選択が重要に
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