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- 2024/12/13 掲載
生成AIはローコード開発の「敵か味方か」問題、活用「3つの利点」をガートナー解説
ローコード開発と生成AIに関する「ある変化」
そうした生成AIの影響について、1年前までは「生成AIはLCAPに脅威をもたらすのか」「生成AIの登場でローコード開発基盤の市場はなくなるのではないか」「Javaや.NETなどのコード生成が容易になったことで、コストが高い開発基盤の需要はなくなるではないか」という問い合わせを多く受けていたと話すのは、ガ-トナーバイス・プレジデント アナリストを務めるカイル・デイヴィス氏だ。
デイヴィス氏によると、この傾向の一方で、今年に入ると問い合わせ内容が一転して「ローコード開発基盤と生成AIを一緒に利用する」ことに関するものに変化したという。
「2023年下半期、生成AIは脅威と見なされていました。今後も脅威として発展するかもしれませんが、現在は、どちらかというとメリットとして捉える方が多いと考えられています」(デイヴィス氏)
デイヴィス氏よると、生成AIはコードを書き上げるのに長けており、たとえば、ChatGPTのような生成AIツールは、学習を重ねることでjavaやC#などのプログラム言語でコードを記述可能になっている。そのため多くのベンダーが、専有基盤であったローコード開発基盤に生成AIを組み入れるようになっているという現状があるという。
では、ローコード開発基盤で生成AIを活用するためには、どのようなアプローチが効果的なのだろうか。
ローコード開発基盤における生成AI活用「2つの領域」
デイヴィス氏は、LCAPにおける主要な生成AIの投資領域として、「AI支援型開発」と「AI拡張型ソリューション」の2つがあると説明する。それぞれ順番に見ていこう。まずAI支援型開発とは、LCAP内でAI技術を活用して開発プロセスをさらに効率化し、自動化する手法を指す。
具体的な活用例として同氏がまず挙げたのが「新しいアプリケーションの構築」だ。構築したいアプリケーションについて、自然言語を用いて指示・記述してLCAPがドラフト版を作成できる。
たとえば、マイクロソフトの「Copilot for PowerApps」などを活用することで、さまざまな処理の内容を設定するだけで、ユーザーインターフェイスやデータテーブル、制御などの操作を可能にする。AI支援型開発の素晴らしさとして、デイヴィス氏は「最初のドラフト版をすぐに作ってくれる」点を挙げる。構築されたドラフトを確認しながら、宣言文を用いて変更を加えられることが可能となるのだ。
「LCAPは、新興企業にとっては有益なソリューションです。宣言的なアプローチを取ってはいるものの、画面上のドラッグ&ドロップで多くのことが実現できます。コードを記述するわけではありませんが、LCAP基盤がどのように機能するかを理解することは重要です」(デイヴィス氏)
こうしたAI支援開発についてデイヴィス氏は、単一の文章を入力するだけでアプリケーションの土台を構築できるため、新人の開発者には優れたエクスペリエンスとなるというメリットを挙げる。また、スキルが豊富な開発者はD&Dの機能だけを活用してアプリケーションを構築したり、生成AIをフル活用してより素早くアプリケーションを開発できる点などもメリットだという。
ただ、LCAPによっては、データソースやモデルのオプションが限定的な場合もある点は注意が必要だ。
「ただ、こうした制約は一時的なものであり、今後改善されてくれば、取り扱えるデータソースも増えてくるでしょう」(デイヴィス氏) 【次ページ】「ワークフロー構築」でAIが果たす役割とは
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