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  • 2017/11/08 掲載

中堅・中小企業によるマーケティングオートメーション(MA)活用のポイントはどこか

連載:中堅・中小企業市場の解体新書

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「CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント:顧客関係管理)」という言葉は知っているが、「MA(マーケティングオートメーション)」については初めて耳にする方も少なくないかも知れない。この「MA」は大企業のみならず、中堅・中小企業にとっても顧客の関係を構築/維持するために必須のツールとなる可能性がある。なぜ、「MA」が重要なのか。調査データを交えてながら見ていくことにしよう。
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中堅・中小企業にとって、なぜマーケティングオートメーション(MA)が重要なのか
(© photon_photo – Fotolia)



中堅・中小企業におけるCRMの導入率は依然として低い

 以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業におけるCRMの導入率を年商別に集計したものだ。

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中堅・中小企業におけるCRMの導入率

 いずれの年商帯においても導入率は1割未満となっており、会計やグループウェアなどの他の業務システムと比べても低い値となっている。

 CRMを日本語で表記すると、「顧客情報管理システム」となる。企業には必ず顧客が存在し、顧客と良好な関係を築くことはビジネスを維持/展開していく上でも不可欠な取り組みだ。それにも関わらず、顧客情報管理を担うCRMの導入率が低いのは何故なのだろうか?

CRMには「内向け」と「外向け」がある?

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 「CRM」というキーワードを耳にしたとき、「営業担当が顧客訪問状況などを日報で報告し、それを共有することで営業効率を上げる」というシステムを思い浮かべた方も多いのではないだろうか? こうしたシステムはCRMの中でも「SFA(セールスフォース・オートメーション:営業支援システム)」と呼ばれる分野に該当する。

 実際に中堅・中小企業の方々とお話をしてみると、「CRM」と言った時に「SFA」をイメージしているケースが少なくない。

 たとえば、「中堅・中小企業にとってはCRMで迅速に導入効果を得ることが難しい」といった意見がある。これは「営業担当が日報をきちんと書く」という習慣が根付いておらず、まずはそれを徹底するために時間を要することが多いためだ。

 このように中堅・中小企業ではCRM≒SFAという認識が意外と根強い。CRMの導入率が低いのも、「CRM≒SFA≒日報を書く習慣をつけるのが大変」といった認識が少なからず影響していると考えられる。

 では「SFA以外のCRM」とは何だろうか? それが本稿のテーマである「MA(マーケティングオートメーション)」だ。「MA」とは『メール/SNS/Webサイトなどの販促手段を他のツールやサービスも含めて連携させることで、顧客とのコミュニケーションを改善するシステム』のことを指す。

 たとえば、ある顧客AがWebサイトで商品Xを閲覧したとする。その10日後に商品Xの割引キャンペーンをメールで告知することになったとしよう。

 当然ながら、メール告知先には顧客Aも加えるのが得策だ。しかし、「告知メールとWebサイトで担当者が別々である」、「10日前のWebサイトアクセス状況が保存されていない」などの要因によって、この種の販促機会が数多く失われてしまっている。こうした課題を解消することが「MA」の役割だ。

 「SFA」が営業担当という社内人材を対象とした改善を主な目的としているのに対し、「MA」は外部の顧客とのコミュニケーション改善を目指している。つまり、CRMという大きな括りの中で、「SFA」は「内向け」、「MA」は「外向け」といった役割分担とみなすこともできる。

 現在の中堅・中小企業は「CRM」の認知や活用がやや「内向け」に偏っているため、今後は「外向け」の取り組みも増やしていくことが重要ということになるわけだ。

実は中堅・中小企業の多くは「MA」の必要性に気付いている

 冒頭でも触れたように「MA」というキーワード自体は中堅・中小企業の間でそれほど広く知られていない。だが、実は多くの中堅・中小企業が「MA」の必要性に既に気付いている。

 その根拠となるのが以下のデータだ。これはCRRMを導入済みの年商500億円未満の中堅・中小企業に対して、「CRMに関して抱えている課題」を尋ねた結果の一部である。

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「CRM」に関して現時点で抱えている課題

 IT予算が限られる中堅・中小企業にとっては業務システムの導入/維持に関する費用負担が大きな課題となりやすい。

 だが、上記の結果を見ると「導入や保守サポートの費用が高価である」や「バージョンアップの費用が高価である」といった課題と同程度、もしくは高い回答割合で「メールによる顧客の開拓やニーズ分析ができない」「SNSによる顧客の開拓やニーズ分析ができない」「Webサイトのアクセス分析やページ最適化ができない」といった項目が挙げられている。

 いずれも「MA」による解決が有効な課題といえる。それぞれ順に見ていくことにしよう。

【次ページ】「メールによる顧客の開拓やニーズ分析ができない」への解決法とは?
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