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  • 2018/04/26 掲載

デジタル化するなら「先の先」を読め!販売管理システムの例から「DX後」を考える

連載:中堅・中小企業市場の解体新書

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ビジネスに求められるスピードは日々加速しつつある。最近は中堅・中小企業においても「実店舗とeコマースを統合した売上分析を行いたい」「店舗の売上データをリアルタイムで把握したい」というように、より高度なIT活用を検討する声を耳にするようになってきた。だがその一方で、「eコマースサイトを開設したところ、販売数が激しく増減するようになって欠品クレームが逆に増えてしまった」というケースもある。高度なIT活用を成功に導くためには、次に何が起きるか予測し「先の先を読む」ことが大切だ。本稿では販売管理システムを例にとって、具体的に考えていく。
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デジタルトランスフォーメーション(DX)すれば、新たな課題やニーズが現れる
(© takasu – Fotolia)


高度なIT活用の前に「足元固め」が必要

 まず、以下のグラフをご覧いただきたい。これは販売管理システムを導入している年商500億円未満の企業に対して、「販売管理システムが今後持つべき機能や特徴(複数回答可)」を尋ねた結果の一部である。

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販売管理システムが今後持つべき機能や特徴(複数回答可)

 赤帯の項目が「高度なIT活用」に該当する。冒頭でも触れた「実店舗とeコマースを統合した売上分析を行いたい」や「店舗の売上データをリアルタイムで把握したい」というニーズに加えて、CRMやSNSと連携した顧客との関係深化、SCMやEDIによる仕入先と連携強化といった項目が挙げられている。

 だが、それよりも高いニーズを示しているのが、青帯で示された「先入先出法(FIFO)による棚卸資産管理ができる」「バーコードを活用した入出庫管理ができる」といった項目だ。いずれも在庫管理を確実かつ効率良く行うためには基本的な取り組みといえる。

 だが、赤帯よりも青帯の方が高い値を示していることからわかるように、「高度なIT活用の前に、在庫管理の基本を押さえておく」ことが大切だ。ビジネスを迅速に進めることは重要だが、まずは慌てずに足元を固めることから始めるようにしよう。

課題とニーズの経年変化を分析すると、「今後何が起きるか?」が見えてくる

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 しかし、「先入先出法やバーコードを用いた在庫管理」といった足固めを行う場合にも、それによる副作用や弊害はないか予測しておく必要がある。仮に先入先出法やバーコードに対応した販売管理システムを導入したとしても、新たな作業ルール(入荷日に応じた保管場所を守るなど)を現場作業者が実践できなければ、返って混乱が生じる可能性もあるためだ。

 そこで参考になるのが分析データだ。筆者が務めるノークリサーチでは販売管理システムにおける「課題」や「今後持つべき機能や特徴」(ニーズ)の有無を毎年調査している。たとえば以下のような項目を、調査では選択肢として提示している。

「課題」

・売上分析の精度が低く信頼性に欠ける
・売上分析の粒度が荒く信頼性に欠ける
・商品マスタ管理が煩雑で柔軟性に欠ける
・在庫数量をタイムリーに把握できていない
・入庫時の検品ミスなどが多く非効率である
・出庫時の配送ミスなどが多く非効率である

ニーズに関する項目:

・先入先出法(FIFO)による棚卸資産管理ができる
・バーコードを活用した入出庫管理ができる
・実店舗とeコマースを統合した売上分析ができる
・店舗の売上データなどをリアルタイムで把握できる
・CRMやSNSと連携して顧客との連携を強化できる
・SCMやEDIと連携して仕入先との連携を強化できる

 冒頭に掲載したグラフは2017年における「ニーズに関する項目」の回答割合ということになる。

 ここで、2014年~2017年の4年間にわたる課題とニーズの経年変化を分析し、「先入先出法に取り組んだ企業が同じ年もしくは次の年にどのような課題に直面し、どのようなニーズを持つことになったか?」の結果を示したものが次ページの図である(ここでは詳細を割愛するが、「ベイジアンネットワーク分析」という手法を用いている)。

【次ページ】デジタル化の「先」にあるニーズや課題を図解
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