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今、営業の働き方が大きく変わりつつあります。自社にいながらにしてオンラインで商談が成立し、紙の資料や名刺はデータ化され、コミュニケーションは電話・メールからチャットベースに変わっています。このような流れをつくった「セールステック」について、2019年9月にSales Techカオスマップ2019を発表したインターパーク COOの高井 伸氏が説明します。
セールステックとは何か
セールステックとは簡単に言えば、営業で活用するテクノロジーのことです。代表的なものとして、たとえばCRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)、グループウェア、BI(ビジネスインテリジェンス)が挙げられます。
一方で、現代のセールステックにはこれまでとは違う動きも出てきています。1つ目のキーワードが、社内で一連の営業フローを完結させる「インサイドセールス」です。かつては電話営業の別称というイメージもありましたが、オンライン商談ツールの普及もあり、サービス提供側にとっても顧客にとっても時間を効率的に使える施策として注目を集めています。
2つ目のキーワードが「カスタマーサクセス」です。これまでのセールステックはCRMやSFAのように、自社の営業活動の効率化や効果にフォーカスしたものがほとんどでした。ですが現在は、チャットやWeb会議ツールなど顧客も活用できるテクノロジーにまで、その範囲が広がってきています。これからは、自社の売上だけを考えるよりも、顧客と一緒に課題解決を目指しその結果として売上が付いてくる時代です。
顧客の課題にそぐわない商品やサービスを一時的に提供しても、売り手にとっても買い手にとっても非効率です。売り手は一時的に売上が上がっても長期的に顧客との関係性は築けませんし、買い手も課題解決ができません。最初から課題解決に沿ったソリューションしか提供しないことが一番効率的なマーケティングかつ営業である。そんな、カスタマーサクセスの考え方が広がってきています。
セールステックカオスマップと8つのカテゴリ
2019年9月、当社インターパークは国内セールステックのカオスマップを発表しました。これは我々が2012年からBtoBのマーケティング・セールス領域でセールステックの提供やコンサルティングをする中でためてきた知見を形にしたものです。
このカオスマップでは、SFAやBIなどこれまで長く使われてきたものを左側、オンライン商談など近年新しく出てきたものを右側に配置しています。
●フィールドセールス/SFA
フィールドセールス(外勤営業)を支援するツールや、営業の進捗(しんちょく)や売上管理など、営業管理ツールのカテゴリです。これは古くあるものなので、おそらく多くの方が知っていることでしょう。
カオスマップに掲載しているサービス(企業名)
・eセールスマネージャー(ソフトブレーン)
・FreshSales(フレッシュワークス)
・JUST.SFA(ジャストシステム)
・KnowledgeSuite(ナレッジスイート)
・Microsoft Dynamics 365(マイクロソフト)
・Oracle Sales Cloud(オラクル)
・Sales Cloud(セールスフォース・ドットコム)
・Senses(マツリカ)
・UPWARD(アップワード)
・Zoho CRM(ゾーホー)
・ちきゅう(ジーニー)
●インサイドセールス/MA
オンライン商談以外の、インサイドセールスを支援するツールです。マーケティングツールともいえるMAを含めているのは、インサイドセールスが営業とマーケティングをつなぐ潤滑油のような役割を果たす場面が増えたためです。
カオスマップに掲載しているサービス(企業名)
・aimstar(スプリームシステム)
・BowNow(エムタメ)
・Customer Rings(プラスアルファ・コンサルティング)
・Dr.Marketing(アイアンドディー)
・HubSpot(ハブスポット)
・Kairos3(カイロスマーケティング)
・List Finder(イノベーション)
・MAJIN(ジーニー)
・MARKETING PLATFORM(シャノン)
・Marketo(アドビ システムズ)
・Pardot(セールスフォース)
・PROBANCE(ブレインパッド)
・SATORI(サトリ)
・Synergy!LEAD(シナジーマーケティング)
・アクティブコアマーケティングクラウド(アクティブコア)
・サスケ(インターパーク)
●カスタマーサポート
お客さまの困りごとを解決するツールで、ここでは特にチャットツールや、問い合わせへ自動回答するチャットボットを取り上げています。チャットボットも近年増加しているセールステックです。
カオスマップに掲載しているサービス(企業名)
・Amazon Connect(アマゾン ウェブ サービス)
・chamo(チャモ)
・Chat Plus(チャットプラス)
・cscloud(スタークス)
・Freshdesk(フレッシュワークス)
・HelpScout(ヘルプスカウト)
・Intercom(インターコム)
・LMIS(ユニリタ)
・Re:lation(インゲージ)
・sinclo(メディアリンク)
・Tayori(PRタイムズ)
・Zendesk(ゼンデスク)
●BI
データを集めて分析・可視化するツールするBIを取り上げたカテゴリです。BIに限らず、何かしらの形でデータをアウトプットして営業活動に役立てるものを載せています。
カオスマップに掲載しているサービス(企業名)
・Actionista!(ジャストシステム)
・DOMO(ドーモ)
・LaKeel BI(ラキール)
・MicroStrategy(マイクロストラテジー)
・MotionBoard(ウイングアークファースト)
・Power BI(マイクロソフト)
・Qlik(クリックテック)
・Yellowfin(テクマトリックス)
●グループウェア
社内で情報共有するためのツール、グループウェアはほとんどの会社で使っていることでしょう。すべての職種で利用するため、あまりセールステックと思われないかもしれません。実はうまく使いこなせばグループウェアだけでも、大半の営業活動の可視化をカバーできます。
カオスマップに掲載しているサービス(企業名)
・Aipo (タウン)
・G Suite(グーグル)
・GRIDY(ナレッジスイート)
・Garoon(サイボウズ)
・GroupSession(日本トータルシステム)
・iQube(ガイアックス)
・J-MOTTO(リスモン・ビジネス・ポータル)
・NEO(ネオジャパン)
・NI Collabo Smart(NIコンサルティング)
・R-GROUP(Rグループ)
●オンライン商談
インターネットを通じて遠隔で商談ができるツールで、近年急増しています。Web会議ツールとして広く打ち出しているものもあれば、営業に特化して訴求しているものもあります。
電話やメールが「効率」、商談が「効果」にコミットすると考えると、オンライン商談は「効率+効果」にコミットする手法といえます。インサイドセールスにもカスタマーサクセスにも幅が出るようになります。
カオスマップに掲載しているサービス(企業名)
・AERU(ファインズ)
・appear.in(テレノール)
・bellFace(ベルフェイス)
・B-ROOM(ブルームアクト)
・calling(ネオラボ)
・Google Hangout (グーグル)
・Lite Fresh Voice(エイネット)
・Live On(ジャパンメディアシステム)
・meetingplaza(NTTテクノクロス)
・Mee2box(イエス)
・ONTALK(NSSホールディングス)
・RemoteOperator Sales (インターコム)
・Skype(マイクロソフト)
・SOBA meeting (ソーバプロジェクト)
・V-CUBEミーティング(ブイキューブ)
・Zoom(ズームビデオコミュニケーションズ)
・ベスト会議pro(アックスコンサルティング)
●ペーパーレス
紙の書類を電子データにするツールです。名刺データ管理が主ですが、紙書類全般のデータ化サービスもここでは載せています。AIやOCR(光学式文字読み取り装置)、人手を活用したものまで用途に応じたソリューションがたくさんあります。
ペーパーレスというと経費削減やエコといったイメージが強いですが、実務面のメリットのほうが大きく、どこからでもデータにアクセスできるようになるため、リモートワークに大きな効果を発揮します。セールステックの中でもこれから伸びていく領域だと考えています。
カオスマップに掲載しているサービス(企業名)
・Agree(GMOクラウド)
・camcard(イントシグ)
・クラウドサイン(弁護士ドットコム)
・Contents EXpert(NRIセキュアテクノロジーズ)
・DocuWorks(富士ゼロックス)
・Evernote Scannable(エバーノート)
・HOT Profile(ハンモック)
・myBridge(ライン)
・OnBace(PFU)
・SmartVisca(サンブリッジ)
・Sansan(サンサン)
・WANTEDRY PEOPLE(ウォンテッドリー)
・アルテマブルー(キヤノンエスキースシステム)
・サスケCloudScan(インターパーク)
・メイシー(もぐら)
・名刺ファイリングCLOUD(NTTデータNJK)
・楽々Document Plus(住友電工情報システム)
●セールス・イネーブルメント
日本ではまだなじみがないですが、営業スキルの標準化を進めるツールです。たとえば営業活動に必要なコンテンツを集約したり、個別にプラットフォーム上で商談のフィードバックを与えたりすることが可能です。
MAやSFAが普及した会社が、さらにもう1つ上の営業組織を目指す際に取り組む流れが出て来ています。
カオスマップに掲載しているサービス(企業名)
・ABookBiz(エージェンテック)
・Handbook(アステリア)
・smartsheet(スマートシート)
・PITCHER(ピッチャー)
【次ページ】セールステック普及の背景、課題、世界と日本の違い
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