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- 2019/02/06 掲載
製造業は「セールステック」で差をつけろ、米企業を圧倒的に自動化した「3つの技術」
トレンド1 : CPQ活用の広がりによる見積もり対応の自動化
営業現場の業務フローは「1. 引き合い獲得」「2. 引き合い対応 / 育成」「3. 見積もり対応 /販売」の3段階で分けられるが、米国の製造業ではこの3段階すべてにおいて、デジタル化の流れが押し寄せている。特に近年、浸透が著しいのが「3. 見積もり対応 / 販売」の領域である。いわゆるセールステックのスタートアップが米国には多数存在するが、製造業への広がりという点で特に注目すべきは、CPQ(Configure Price Quote)と呼ばれる、見積もりから契約/支払までをカバーするサービス領域が広がりを見せている点である。
CPQの中でも、最も注目されている企業の1つが「APTTUS」である。2006年に設立されたAPTTUSはいわゆるユニコーン企業(評価額が10億ドル以上の未上場のスタートアップ企業)の1社である。CPQと売掛金管理が統合したSaaSを提供しており、製品/サービス管理から料金設定、契約・請求、売掛金回収などの10ステップをカバーするソリューションとなっている。
APTTUSの公開ベースでのクライアントには、Seagate(HDD)やNXPセミコンダクターズ(半導体)などの米国メーカーだけでなく、KUKA(産業ロボット)やABB(重電)などの欧州メーカーも今や名を連ねる。
CPQ普及による効率化の影響は非常に大きい。これまでFAXやメールベースだった見積もりのやり取りがAPTTUSなどのCPQに統合されることで、登録製品情報を元にした「自動見積り対応」、契約・請求などの販売付帯業務の紙ベースからインターネットベースへの以降などを実現しており、本来人間が集中すべき顧客対応などの業務への「選択と集中」が進んでいる。
日本のある専門商社からは「通常業務の80%は見積もり対応(価格・在庫・納期確認)に追われており、新規営業に時間をほとんど使えない」という言葉も聞こえてくる。こうした状況から推察するに、見積もり対応の自動化の影響は計り知れず、CPQの浸透は確実に米国製造業の業務フローを変えつつあると言える。
【次ページ】トレンド(2)(3)と、3つのトレンドから学ぶ日本の製造業の進路
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