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- 2023/04/21 掲載
グーグルやセールスフォース、アドビもジェネレーティブAI発表、各社の狙いは?
ジェネレーティブAI市場の現状
ChatGPTの注目の高まりとともに、「ジェネレーティブAI(生成AI)」に関心が集まり始めている。このジェネレーティブAI市場は、テキスト生成に限定しても、企業やプロダクトの多様化が進んでおり、各分野における競争は免れない状況となっている。
Venturebeatの調べでは、ジェネレーティブAI市場におけるテキスト生成プロダクトを開発する企業の数は、700社以上あることが明らかになった。画像生成AIは含まれておらず、画像生成分野を含めると、企業数はさらに多くなることが見込まれる。
この調査では、ジェネレーティブAI市場が「テキスト分析」「センチメント分析」「テキスト翻訳」「バーチャルアシスタント」「チャットボット開発プラットフォーム」「チャットボットフレームワーク」「文章生成」「コード生成」などに分類されているが、各分野ではすでに数多くのスタートアップがひしめき合う状態となっている。
そんな中、ChatGPTの登場やそれを自社ブラウザに統合したマイクロソフトの取り組みに触発され、セールスフォース、アドビなども続々とジェネレーティブAIプロダクトのリリース計画を明らかにしており、しばらくジェネレーティブAIトレンドが続く公算が高まっている。
グーグル「Bard」は何がダメなのか
現在、ChatGPTの直接的な競合として目されるのがグーグルの「Bard」だ。この数カ月ほど、グーグル社内でテストされていたが、3月21日米国と英国の一部ユーザーを対象に、限定ベータ版がリリースされた。さらには4月18日から、日本でもベータテストに参加できるようになっている。
注目されるポイントは、Bard、ChatGPT、またマイクロソフトのAI検索エンジンBingが生成するアウトプットの精度だろう。
Bardの限定ベータ版がリリースされてから、複数のメディアやインフルエンサーらが比較レビューを行っており、現時点におけるそれぞれの特徴があぶり出されている。
包括的なレビューの1つとしてThe Vergeが3月24日に公開した記事が挙げられる。オンラインゲームの攻略法、ケーキレシピ、パソコンのDIY、詩の作成、基本的な計算、平均給与の調査、マラソンの練習プラン、旅行計画などの様々な質問(プロンプト)を入力し、Bard、ChatGPT、Bing、それぞれのアウトプットを比較している。
比較した後The Vergeは、創造的な文章作成や帰納的推論などの言語タスクではChatGPT(特にGPT-4)、ウェブ検索でチャットボットを利用する場合はBingが推奨できるという評価を与えている。一方Bardに関しては、複数の質問に対し、ChatGPTやBingと比較しても、満足を得る回答を得られなかったとして、低い評価が下された。
たとえば、ケーキレシピに関しては、ChatGPTが必要条件を満たすレシピを生成した一方で、Bardはケーキの味を大きく変えてしまう失敗をしたことが報告されている。
この実験で使用された入力テキスト(プロンプト)は「しっとりしたバニラクリーム・チョコレートケーキをつくる良いレシピを教えて下さい。レシピの情報ソースも提示してください」というもの。
ChatGPTは、1つのサイトからチョコレートケーキのレシピ、別のサイトからバタークリームのレシピを選び、それぞれの材料を正しく再現。また、パーチメントペーパーの使用やケーキの層を組み立てる方法などを提案するなど、クリエイティブなヒントも提示した。実験者は、ChatGPTがレシピボットとして信頼できるものであると評価している。
一方、Bardはケーキの焼き時間を少なく表示したほか、バターミルクと牛乳、水とコーヒーを混同するなどケーキの味を大きく変えてしまうミスを頻発したことが報告されている。 【次ページ】セールスフォースは、CRM特化型のジェネレーティブAI開発
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