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  • 2017/02/21 掲載

中堅・中小企業が「IoT投資」で売上増に結びつける「最短の」方法

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米GEの「インダストリアル・インターネット」やドイツの「インダストリー4.0」など、海外におけるIoTの事例が目にされるが、日本政府も「ロボット革命イニシアティブ協議会」のワーキンググループにおいてIoT活性化への取り組みを開始している。そこでは「中堅・中小企業アクショングループ」も設けられており、大企業のみならず、中堅・中小企業におけるIoT活用についても議論されている。こうした背景を踏まえ、本稿ではユーザ企業を対象とした調査結果を交えながら、中堅・中小企業がIoT活用を成功させるための秘訣について考えていくことにする。
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中堅・中小企業はどうすればIoTに対応できるのか
(画像:© wladimir1804 – Fotolia)



「IoTの本質」とは何か?

 まず、以下のグラフをご覧いただきたい。従業員数300人未満の企業を対象に「IoTという用語に対する印象」を尋ねた結果である。

画像
IoTという用語に対する印象(従業員数300人未満)

 「コスト削減に寄与するIT活用分野と捉えている」と「売上増に寄与するIT活用分野と捉えている」の合計割合は40.1%に達している。中堅・中小企業においてもIoTへの期待は高いといえる。

 では、そもそもIoTとは何だろうか? 展示会などに足を運ぶと、「IoT」として紹介される製品やサービスが非常に多い。その中にはBluetoothなどのワイヤレス通信手段を介してスマートフォンに計測データを送信できる体温計や体重計もある。

 だが、単に機器同士が通信する状態を「IoT」と呼ぶのであれば、「テレビのリモコンもIoTなってしまわないか?」という疑問が生じてくる。実際、一般の企業のみならず、IT企業の方々からも「どこまでをIoTと呼ぶべきなのか?」という質問をいただくことが少なくない。

 ノークリサーチではIoTを以下のように定義している。

IoTとは:
センサー、スマートデバイス、ドローンなどを通じて得たデータをシステム側で収集/分析することによって機器やシステム同士が双方向または自律的に動作し、新たな付加価値や全体の効率化および省エネ化などを実現しようとする取り組み。

 上記の定義で重要なのは「双方向または自律的に動作し、新たな付加価値を生む」という箇所だ。体温計や体重計が計測データをスマートフォンに送信するだけであれば、それは「センサー」としての役割を果たしているに過ぎない。

 だが、収集したデータを集計/分析し、冷蔵庫などのネット家電と連携して、「ここ数日の体温や体重を考慮して、冷蔵庫内の食材で調理できる最適な献立をアドバイスする」などといったことを行えば、新たな付加価値が生まれてくる。つまり、IoTとは単体の「モノ」ではなく、複数の製品やサービスが連携して実現される「ビジネスシーン」に近い概念と捉えた方が良い。

売上増につながるIoT活用ができる企業は限られている

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 先に挙げた例は一般家庭におけるIoT活用の具体例だが、企業における事例も数多く登場してきている。たとえば、愛知県の小島プレス工業では製造工程で異常が発生した時の対応にソフトバンクの「Pepper」を活用する実証実験に取り組んでいる。

 Pepperは設備異常を知らせるパトランプの信号を感知すると、自動的に発生現場へと移動する。そこでPepperが備えるカメラやタブレットを通じて、事務所にいる管理者から工場の作業員への指示や逆に作業員から管理者への報告を行うという流れだ。

 パトランプが点灯しても、作業員が見落としたりする可能性もある。「設備センサーによる警告」と「作業員による対応」の間に生じるギャップをPepperという機器が双方向に仲介することで、稼働率の向上という価値を生み出しているわけだ。

 だが、上記で例示した小島プレス工業は、トヨタの一次サプライヤであり、従業員数も1000人を超える。「我が社はもっと規模が小さいから、同じような取り組みをするのは難しい」と考える中堅・中小企業も少なくないはずだ。

 また、「製造設備の監視はSCADAやPLCなどを用いたエンジニアリングの領域で既に行っている。ITで同じことをする必要はないのでは?」という疑問もあるだろう。つまり、中堅・中小企業がIoTに取り組む上では、

課題1:自社の規模ではIoTへ投資するだけの余力がない
課題2:売上増につながる新しい取り組みが見えてこない

 という2つの大きな課題があることになる。ここでの具体例は製造業を中心としているが、卸売業、小売業、サービス業、運輸業、建設業といった他の業種においても上記の2つの課題は共通している。

【次ページ】IoT投資を成功に結びつける方法とは?
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