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  • 2017/06/30 掲載

ひとり情シス、最大の懸念は「ひとりであること」ではなかった

連載:中堅・中小企業市場の解体新書

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十数人以上の情報システム部門を擁する大企業と違い、中堅・中小企業ではIT管理/運用に携わる人員も限られる。実際、「1名のみ」というケースも少なくなく、こうした状況は「ひとり情シス」と呼ばれている。だが、「ひとり情シス」にはいくつかの類型があり、その違いを理解することがIT活用を成功させる上でも重要なポイントとなってくる。
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ひとり情シスは3つの類型に分け、それに合わせてIT戦略を考える必要がある
(イラスト:いらすとや)



「ひとり情シス」の負担要因は「ひとりであること」ではない

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 まずは「ひとり情シス」という言葉の意味を再度確認しておこう。中堅・中小企業ではIT管理/運用を担う人員が1名のみというケースも少なくない。

 そこで、「1名のみの情報システム部門」という意味合いで「ひとり情シス」という言葉が自然発生的に生まれてきた。もちろんすべての中堅・中小企業が「ひとり情シス」に該当するわけではない。だが、拠点や部門で見た場合には「1名のみ」となっている場合もある。そうした拠点/部門の単位で「ひとり情シス」となっている企業にとっても本稿の内容は参考になるはずだ。

 「ひとり情シス」は1名のみでIT管理/運用を担っている。だが、「ひとり情シス」の方々に話を聞いてみると、負担が大きくなる要因は人数だけではないという声が聞こえてくる。

 では、人数以外に「ひとり情シス」の負担を大きくしている要因とは何だろうか? 以下のグラフは「ひとり情シス」の企業(全年商帯)に対して、その担当者が兼任か、専任かを尋ねたものだ。

画像
「ひとり情シス」における専任/兼任の割合

 上記のグラフを見ると、8割強が「兼任」であることがわかる。つまり、「ひとり情シス」の大半は総務/人事/経理または本業に関わる現場部門での業務をこなしながら、IT管理/運用の作業を担っていることになる。

 このように「ひとり情シス」の企業においては「1名のみ」という人数だけでなく、「兼任である」という状態が大きな負担要因となっている。

「兼任型ひとり情シス」には3つの類型がある

 多くの中堅・中小企業にとって、IT管理/運用の担当者を増やす、または専任の職責を設けることは容易ではない。

 そのため「兼任型ひとり情シス」の置かれた状況を理解した上で、少しでも負担を軽減する方法を模索していくことが現実解となってくる。その際に重要なポイントが『兼任型ひとり情シスにもいくつかの類型がある』ということだ。

 まず以下のグラフをご覧いただきたい。これは「兼任型ひとり情シス」の企業(全年商帯)に対して、IT管理/運用の現状を「何に費用を投じているか?」の観点から尋ねたものだ。

 「製品/サービスを購入する費用」と「人材の採用/育成に要する費用」の2項目に関してそれぞれ「○」と「×」の2通りがあり、グラフの選択肢は全部で2×2=4通りとなっている。「○」は必要な費用が投じられていることを示し、「×」は費用が足りていない状態を指す。

 たとえば、1番目(青色)『「製品/サービスを購入する費用」:○、「人材の採用/育成に要する費用」:○』に該当する企業は製品/サービス(モノ)と人材の採用/育成(ヒト)の双方において必要な費用を投じることができていることになる。

 一方で、2番目(赤色)『「製品/サービスを購入する費用」:○、「人材の採用/育成に要する費用」:×』の場合はIT活用においてモノには投資しているがヒトには投資していない企業が該当する。

画像
IT管理/運用の現状
「兼任型ひとり情シス」の企業に限定した場合

 グラフを見ると、『「製品/サービスを購入する費用」:×、「人材の採用/育成に要する費用」:○』に該当する企業が4.7%とごくわずかであり、大半の「兼任型ひとり情シス企業は以下の3つの類型のいずれかに当てはまることがわかる。

【類型1】
<選択肢>
「製品/サービスを購入する費用」:○
「人材の採用/育成に要する費用」:○
<割合>43.0%
IT管理/運用における「モノ」と「ヒト」の双方に費用を投じている企業。他の類型と比べてIT担当者のスキルが高く、IT予算も確保/捻出しやすい。

【類型2】
<選択肢>
「製品/サービスを購入する費用」:○
「人材の採用/育成に要する費用」:×
<割合>28.5%
「モノ」には費用を投じているが、「ヒト」には投資していない企業。IT商材の購買力は「類型1」と同程度だが、IT担当者のスキルは相対的に低い。

【類型3】
<選択肢>
「製品/サービスを購入する費用」:×
「人材の採用/育成に要する費用」:×
<割合>23.8%
「モノ」と「ヒト」の双方において十分な費用を投じることが困難な企業。IT商材の購買力とIT担当者のスキルはいずれも「類型1や「類型2」と比べて低い。

 これらを図で整理すると以下のようになる。

画像
「兼任型ひとり情シス」の類型分類

【次ページ】類型別に考えるひとり情シスのベストプラクティス
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