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- 2016/09/01 掲載
サービスロボットの「厳しすぎる現実」、それでも前回ブームとは3つの違いがある
森山和道の「ロボット」基礎講座
未発達のサービスロボット市場
「まだ産業として確立していない」というのも、裏を返せば、「伸びる余地が非常に大きい」とも言えるわけで、参入するならば市場が固まってないどころか始まってもいない今なのではないかと考える人たちがいてもおかしくはない。
ブームが技術にもたらすもの
ロボットに限らないが、技術自体は連続的に向上していくものだ。たまに、特許切れなどによって優れた要素技術が一気にコモディティ化して活用法が多種多様な方向に広がるといったことはある。だが、基本的には技術は連続的に向上していく。では、なぜ熱狂的な盛り上がり、「ブーム」が起こるのかというと、それは、技術というよりは世間の「期待」が上がったり下がったりするからである。ロボットの場合、その「期待」を牽引するのがコミュニケーションやサービスを行うロボットなのだ。
これまでにも述べてきたように今回のロボットブームは、産業用分野と非産業用分野への期待、あるいはBtoB分野での期待とBtoC分野での期待など本来異なる期待がそれぞれ入り交じって発生している。
具体的には2014年頃のグーグルによるロボットベンチャーの買収に代表されるような国内外のハードウェアベンチャーの勃興とファンドからの投資、日本政府による「ロボット新戦略」(ロボット革命実現会議とりまとめ)を中心とした実証事業の展開や「ロボット革命イニシアティブ協議会」立ち上げなど行政による牽引のほか、隣接分野である自動運転やドローン、大規模データ、人工知能研究のビジネス展開への期待などの集中によって起きている。
ヒューマノイドによる米国でのロボコン「DARPA Robotics Challenge」(2013年12月に予選、2015年に本戦)なども注目を集めた。
それらの期待の焦点、象徴としての役割をサービスロボットが担っている面はあるように思う。いわばロボット界のポップスターがサービスロボットなのだ。
国内でいえば、2013年にデアゴスティーニから組み立て式パートワークとして発売された「ロビ」は3版を重ね、出荷台数は12万体分を超えたという。
ブームの消長によって技術開発側は振り回される。だが、悪いことだけではない。技術が社会に導入されるためには、技術側の進展だけではなく、社会側の準備も必要だ。ブームは社会に対して働きかける絶好のチャンスでもある。
自動車でたとえてみよう。自動車は自動車単体だけで成立しているわけではない。自動車が走る道路やガソリンスタンドはもちろん、運転免許の仕組みや自動車教習所、自動車とはどういうもので、どういうふうに接しなければならないかといった社会通念の普及などがないと、自動車の普及はここまで至らなかった。
ロボット普及においても同じように、社会側が徐々に変化して、ロボットとはどういうものかを理解していくステップが必要になるだろう。ブームのたびに、技術向上だけではなく、徐々に社会の側もロボットに馴らされていき、社会通念が形成されていく。むしろ、そういう役割を果たさないと、せっかくのブームも、無意味なブームに終わってしまう。社会的な知を伝達していく仕組みが必要だ。
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