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  • 2023/05/02 掲載

ついに公道走行解禁、配送ロボット本格活用に必要な「歩み寄り」とは何か

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改正道路交通法が4月に施行され、ロボットの公道走行が可能になった。自動配送ロボットの社会実装が本格化したのは確かだが、大きさや速度域には制限があるなど課題はまだまだ多い。課題がある中でもロボットを活用するにはどうすれば良いだろうか。ロボット活用は屋内でも進むはずだが、もっと大胆にロボットが使われる時代を招き寄せるにはどうすればいいのだろうか。
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改正道路交通法により、ロボットの公道走行が可能になった
(出典:経済産業省リリースより)

改正道路交通法でロボットが街に出る

 今年2023年から2024年は、もしかするとさまざまなサービスロボットが一挙に社会に普及し始めた年として記憶されるかもしれないーー。そんな期待が関係者たちにはあるようだ。

 2023年4月、改正道路交通法が施行され、ようやく日本でも「自動配送ロボット」が、すぐそばを歩く監視者なしで走行できるようになった。遠隔からの監視で済むようになったのである。

 今回の道路交通法改正では、いわゆる「レベル4」、特定エリアでの完全自動運転の解禁に注目が集まっているが、ロボット業界的にはこちらのインパクトが大きい。もっとも、「レベル4」自動運転車というのは、要するにハコが大きく人を運ぶロボットそのものであり、技術的にはほぼ共通している。

 遠隔からの監視で済むようになったら何がいいのか。1人が1台を見るのではなく、1人が複数台を見ることができる。必要であれば複数の監視センター同士でシェアすることで業務を平準化することも可能だ。コールセンターのようなものである。こうすることで、ロボット運用に関わる人件費を少しでも下げることが実用化への道となる。


配送ロボットは車道と歩道の両方を行き来できるのか

 配送ロボットと自動運転車の違いは、大きさと移動速度、それによる運動エネルギーだ。だから走る場所も分けられている。今回の改正でも配送ロボットの最高速度は時速6kmに制限されている。歩道を走るからだ。時速6kmだと、人間の歩行速度よりは速いが、自転車の平均速度とされる時速15kmよりは大幅に遅い。

 必要に応じて車道と歩道を行き来できるようになればいいのに、というのは誰でも考える話である。実際に京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、中型サイズ(長さ2.5m以下×幅1.3m以下×高さ2.0m以下)の自動配送ロボットに公道を走らせる実験を国内でも行っている。ただし、これも最高時速は15kmに抑えられている。


 海外ではすでにこういう中型サイズの自動走行ロボットを使って、ファストフードチェーンが自動販売を行っている例も知られている。いっぽう日本国内においては、ロボットが場合によって歩道と車道を走り分ける時代に至るまでは、まだまだ時間がかかりそうだ。


 だが、実際にはそうならないと配送ロボットはコストが見合わないだろう。言うまでもなく、速度が出せない限り十分な配送頻度を満たせないからだ。ちなみに宅配ピザを配達するバイクは時速30km制限なので、一般的にはだいたい片道10分程度で行ける半径2km程度のエリアを配達地域としているようだ。そのくらい出せるようになって初めて、ドライバー&バイクと同じ土俵で競争できることになる。つまり、まだまだだということだ。

本当の「実用化」まではまだ課題あり

 一度に運べる容量にも課題がある。今は実証実験ばかりなので大して気にされてないが、実際にネットスーパーを使ってる人なら、現在の配送ロボットの大きさが電動車いすに準じた奥行き120cm、高さ120cmに制限されていることには不安を感じるだろう。本気でモノを買ったら、あれにはとても入りきらない。自動配送ロボットの実験では、「園芸用の土」など重量物を注文する人が多かったそうだが、現状のコンテナサイズでは、それこそスイカも載せられないし、トイレットペーパーも入らないだろう。そういうものを頼まれたら従来どおり人&車を使って配送するしかない。


 このように、単なるお試し実験の枠を超えた、本来の意味での実用化を考えると、さまざまな課題は容易に想像できる。しかしながらメーカーやサービサーなど関係各位による地道な実験の積み重ねによって今回の法改正にこぎつけ、まずは第一歩をしっかりと踏み出したということで、さまざまな方面から熱い視線を向けられているのが配送ロボットというわけだ。

 4月13日には早速、西村康稔経済産業大臣が大阪・関西万博の起工式と合わせて、配送ロボットを開発しているパナソニックホールディングスを訪問した。西村氏はロボットのほか、遠隔管制室などを視察した。なお経産省は自動配送ロボットに関する情報をまとめたページも作っているので、興味がある方はそちらも合わせてご覧になることをお勧めする。

 個人的にはロボットが宅配ピザを届ける時代が早く来てほしいと思っている。その場合は部屋の前まで来てもらうことは無理なので自分がマンション入り口まで取りに行くことになってしまうが、そのぶん割引クーポンでも出せばロボット宅配を選択する人もそれなりにいるのではないだろうか。ただ、それもまだまだ先の話だろう。 【次ページ】わざわざ人を割けない業務を任せるのが現実的?
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