日本食品機械工業会が開催する「2019国際食品工業展(FOOMA JAPAN 2019)」が7月9日から12日の4日間の日程で東京ビッグサイトにて行われた。筆者は、食品機械の技術製品・サービスのこの展示会に足を運び始めて10年余りになる。初めのころは自動機械こそ多かったものの、いわゆるロボット関連技術の出展はまだまだで、各ブースで訝(いぶか)しがられることも少なくなかった。だが今や「ロボット取材のために来場した」と言っても「ああ、なるほど」と返されるようになった。もはやロボット活用は当たり前となった。今回はこの展示会を改めてご紹介し、ロボット活用への期待を概観しよう。
2020年6月に施行される改正食品衛生法と、それに伴う国際的な衛生管理基準HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point、ハサップ)の制度化、すなわち原材料から出荷に至るまでの全工程における衛生管理・データ管理への対応義務化を背景として、ロボットと自動機械の活用は現場からも求められている。
このような、作業ができるロボットアームと移動可能な台車の組み合わせでの作業は「モバイル・マニピュレーション」と呼ばれている。工場内外で今後大いに活用が期待されているモバイル・マニピュレーションだが、もともとロボットに対して単一作業よりも多能工的側縁が期待されている食品分野では、このような移動可能なロボットが求められている。ロボットの提供形態自体も、買い切りだけではなく、「RaaS(Robotics as a Service)」のような、必要なときだけロボットを導入し、そのぶんだけ支払うといった形態のほうが、適する会社もあるかもしれない。