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  • 2024/05/03 掲載

Figureとはいかなる企業か?「人型AIロボ」で驚異の1,000億円調達のワケ

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人型ロボットを開発するスタートアップFigure(フィギュア)が、マイクロソフト、OpenAI Startup Fund、NVIDIA、ジェフ・ベゾス氏らから6億7,500万ドル(約1,020億円)もの巨額資金を調達し、評価額は26億ドルに達した。ボストン・ダイナミクス、テスラ、グーグル・ディープマインドなどの出身者が集う同社、AIモデル開発に向けOpenAIとの提携も発表した。Figureとはどのような企業なのか、なぜ注目されているのか、その全貌を探ってみたい。
執筆:細谷 元
photo
Figureが開発する人型ロボット
(出典:Figure

創業2年未満で評価額26億ドルに達したロボットスタート

1ページ目を1分でまとめた動画
 重労働を伴う産業における人手不足解消を目指し、人型ロボットを開発する米カリフォルニア拠点のスタートアップFigureが、驚異的な資金調達と評価額を実現したとして話題となっている。

 同社は2024年2月29日、マイクロソフト、OpenAI Startup Fund、NVIDIA、ジェフ・ベゾス氏(Bezos Expeditions経由)、Parkway Venture Capital、Intel Capital、Align Ventures、ARK Investなどのテック企業/投資家から総額6億7,500万ドルもの資金を調達。これによりFigureの評価額は一気に26億ドルに拡大した。

 この巨額資金調達に加え、FigureはOpenAIとの提携合意に達したことも明らかにした。OpenAIのAI技術を活用して、ロボットの頭脳となる新しいAIモデルを共同開発するという。

画像
マイクロソフト、NVIDIA、ジェフ・ベゾス氏らが出資

 2024年1月、Figureはプロトタイプロボット「Figure 01」が画像から学習したニューラルネットワークのみを使ってコーヒーを作る様子を公開し注目されたばかり。


 Figureの創業者でCEOを務めるブレット・アドコック氏によれば、OpenAIのモデルを活用することで、ロボットの機械学習能力はさらに向上する見込みだという。

 OpenAIも過去にロボットの開発を進めてきた経緯があり、Figureのテクノロジーに新たな活路を見出そうとしているようだ。

連続起業家が創業したFigure、少数精鋭で人型ロボットを開発

 Figureは2022年に設立された、二足歩行の人型ロボット開発に強みを持つロボティクススタートアップだ。2024年2月末時点の従業員数は80人と100人に満たない。

 同社のプロトタイプ「Figure 01」は、人間が行っている肉体労働を代替することを目的に開発されたモデル。高さ170cm、重量60kg、積載量20kg、稼働時間5時間、速度120cm/秒、動力は電気というスペックだ。モノを運ぶなどの重労働を代替することが当面の目標だが、最終的には高齢者ケアや調理など、より高度なタスクにも対応できるよう設計されているという。

 同社のロボティクスアプローチの特徴は、ロボットが能力を学習し向上させることを可能にするAI技術を活用している点にある。学習プロセスが進むにつれ、ロボットは基本的な持ち上げや運搬のタスクからより高度なタスクをこなすことが可能になるとされる。

 アドコック氏は2022年にFigureを創業する以前、採用プラットフォーム企業のVettery、また電動垂直離着陸機(eVTOL)企業のArcher Aviationを共同創業した連続起業家でもある。

 Vetteryはすでに売却し、Archer Aviationは特別買収目的会社(SPAC)を通じて上場。Figure創業時ごろまで重要な役割を担っていたが、Figure創業を機にロボット事業に専念するためにArcher Aviationを離れた。

 同氏はFigure創業にあたり自己資金1,000万ドルを投じていたが、2023年時点の報道によれば、さらに最大1億ドルの追加投資を自ら行うことも明らかにしていた。

 Figureのチームは、ボストン・ダイナミクス、テスラ、グーグル・ディープマインド、Archer Aviationなどから集まったAIロボット工学の専門家で構成されており、短期間でAI/ロボット分野で目覚ましい進歩を遂げ、OpenAIだけでなく大手企業との提携にもこぎつけている。

 2024年1月18日、FigureはBMW Manufacturingとの提携を発表した。この契約により、Figureの汎用人型ロボットが自動車製造環境に導入されることになるという。Figureの人型ロボットは、製造工程全体において、難解かつ危険で、反復的なタスクの自動化を可能にする。これにより、従業員は自動化できないスキルやプロセスに集中し、生産効率と安全性の継続的な改善に取り組むことができると期待されている。

 アドコック氏はBMW Manufacturingとの提携に関して、単一用途のロボットは何十年にもわたって産業利用されており飽和状態であるが、汎用ロボティクスの可能性はまったく未開拓だと指摘する。

 この契約の下、BMW ManufacturingとFigureはマイルストーンベースのアプローチでロボットの導入を進める。

 第1段階では、Figureは自動車生産におけるユースケースを特定する。第1段階が完了すると、Figureロボットはサウスカロライナ州にあるBMWの製造施設で段階的に導入される予定だ。

 これに加え、BMW ManufacturingとFigureは、人工知能、ロボット制御、製造仮想化、ロボット統合などの先端分野でも共同で取り組みを進める計画とのこと。 【次ページ】Figureが注目される理由、25の関節を持つ学習ロボット
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