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- 2015/04/28 掲載
トップダウン型かボトムアップ型か? 組織形成の方法論を中国の歴史に学ぶ(前編)
連載:名著×少年漫画から学ぶ組織論(26)
ボトムアップ型・トップダウン型と明確に分類する意味とは?
よくよく考えてみると、この言葉には微妙なトリックが仕掛けられているように思われる。まず、ボトムアップとは「下から積み上げる」という意味の言葉であるが、一体何を積み上げるのだろうか?
組織である以上、指揮命令系統とは上から下に降りるものであり、いかにボトムアップ型とはいえ、業務上の指示命令が下から上にあがっていく、ということはありえない。いかにトップダウン型組織といえど、経営判断を行うためには、現場における情報を、ボトムアップ方式で下から上に吸い上げていかなければ、何の判断をすることもできないのだ。せいぜい、経営判断をするための意見やアイデアが現場から大本営に吸い上げられやすい、意見が聞き入れられやすい、という程度の話である。
用語の定義に忠実に考えると、企業活動を念頭において組織というものを考えた場合、あらゆる組織においては、トップダウン式に意思決定がなされ、指揮命令が降りていくものである。そして、意思決定に必要な情報は、ボトムアップ式に吸収されていくものである。
つまり、あらゆる組織はトップダウン型でありボトムアップ型でもある、というだけのことだ。企業組織をトップダウン型とボトムアップ型に分類するのは、よく考えれば変な話である。
「トップダウンか、ボトムアップか」という問いは、組織形成に対する問題提起だ
しかし、ある組織が「風通しが良い」「意見を述べやすい」ということを感じたとき、それを褒めるときには「うちはボトムアップ型だから」と語り、「スピード感がある」「リーダーシップがある」というときには「トップダウン型も悪くないよね」と語る。トップダウンか、ボトムアップかという対立軸は、インターネットの登場によって脚光を浴びた「中央集権型か、分散処理型か」という対立軸を連想させる。
そう考えるならば、確かに二項対立として成立する概念となるだろうけれど、企業組織として、権限移譲という言葉はあれど、本当の意味でインターネット的な、エキセントリックな組織形態が存在するという話は、聞いたことがない。
分散処理型の組織という観点は、様々な分野で注目を集めている話であり「顧客との共創」「コ・クリエーション」「創発」といった言葉で語られる。おそらく、企業の内部に閉じたシステムの話というよりは、企業を取り巻くステークホルダーも含めた組織の問題として、ブランド形成に関わる観点として、今後語られていくべき話であろう。
前置きが長くなってしまったが、今回のテーマは、組織における「秩序形成」の問題である。
その組織の居心地や効率性がいったいどこからやってくるのかといえば「その組織がどのような考え方で秩序形成されているか」による。「トップダウン型か、ボトムアップ型か」といった議論は、やや粗雑すぎるフレームワークではあるが、実は、組織の秩序形成に対する一種の問題提起なのである。
【次ページ】人々をいかに組織化するか
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