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- 2015/02/13 掲載
スティーブ・ジョブズとナポレオン トップダウンのカリスマの共通点と違い(前編)
連載:名著×少年漫画から学ぶ組織論(24)
知っているようで意外と知らない、ナポレオンの壮絶な人生
歴史上の国家や人物を、なんでもかんでも現代の企業や企業経営者になぞらえて理解するという方法は、濫用するとかえって目を曇らせるものである。しかし、この人の人生を知っていけばいくほど「現代におけるカリスマ起業家」の姿を連想せずにはいられない。
特に、その終末期の有り様を深く知ることは、現代を生きる我々にとっても大きな教訓を与えてくれるように思われる。
ナポレオンは、コルシカ島という辺境の地の生まれでありながらも、軍事的な才能によって頭角を現した軍人である。フランス革命という大動乱期の混乱を収拾して、ナポレオン1世としてフランス第一帝政の皇帝に即位した。
軍事独裁政権を樹立した後は、ナポレオン戦争と呼ばれる長期大戦争を戦い、その巨大な戦果によって、イギリスとオスマン帝国を除いたヨーロッパ大陸の大半を勢力下に置いた。だが終末期においては、精彩を欠いた指揮によって続けざまに敗戦を喫してしまい、失脚し、離島に追放されてしまうのだった。
しかしナポレオンの人生のクライマックスは、その約1年後に訪れる。自分のかわりに即位したルイ18世の統治が酷いもので、人民の評判も最悪という状況のなか、復活劇のチャンスありとみて、突如島を脱出して政権奪取の動きを開始したのだった。ナポレオン脱出のニュースはすぐにパリに伝えられ、ルイ18世は、上陸するナポレオンを逮捕するために、軍隊を南仏に派遣した。
待ち構えている軍隊に、ナポレオンはそこでこのように言ったという。
「栄光あるフランスの兵士諸君、余は帰ってきた。ともに、フランスの栄光を取り戻そう」
ナポレオンを捕らえるために派遣された軍隊はこれを聞いて、逮捕するどころか、次々とナポレオンの指揮下に入ってしまうのであった。
【次ページ】ジョブズ氏とナポレオンに共通する「カムバックへの期待」
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