- 会員限定
- 2015/04/30 掲載
トップダウン型かボトムアップ型か? 組織形成の方法論を中国の歴史に学ぶ(後編)
連載:名著×少年漫画から学ぶ組織論(27)
国家統治コンサルタントとして「統治のあり方」を説いた儒家
湯浅邦弘の著書「諸子百家」は、儒家・墨家・道家・法家・兵家という、諸子百家における五つの主要な系統の考え方を解説した書だ。本書ではバランスよくわかりやすく、各流派の考え方や歴史を教えてくれる。
なかでも興味深いのは、孔子・儒家的な「徳」による秩序形成のあり方。つまり、「徳治主義」と、秦の始皇帝・法家的な「法治主義」による秩序形成の対立である。
儒家の主張である「徳治主義」とは、その名の通り「徳のある統治者がその持ち前の徳をもって人民を治めるべきである」とする考え方である。「その世界の中心に徳のある聖人がいて、それが辺境にも徐々に波及していくことで正しい秩序がもたらされる」というこの考え方は、中華思想の根幹をなす重要な要素となっている。
「徳治主義」は、現代日本社会においても、直感的に受け入れやすく、ごく自然な考え方である。
例えば「その人がいるから協力する」「あの人がトップだから、組織がまとまる」ということは、現実として存在する法則だ。例えば急成長企業におけるカリスマ起業家といった存在がまさにそうだし、漫画ONE PIECEにおける海賊団の船長達は、そうした人々がどうあるべきかといことの、現代における指南書のようなものだったりする。
現代になぞらえると、東京都の人口が1335万人。150万人というと、世田谷区と杉並区を足した規模感である。30万人の軍隊組織ということを考えると、日立グループの連結従業員数が約32万人であると考えると、少しイメージしやすい組織の規模だ。
儒家という人たちは、現代における首長や大企業経営者に対する政治評論家、組織コンサルタントの始祖のようなものなのであったのである。
春秋時代の混乱期において、中国大陸は様々な国に分かれて、戦争に明け暮れ、政治のあり方に試行錯誤をしていた。儒者は「国を治めるには、君子にならないと駄目ですよ、伝説の聖人、堯舜のような、“徳”で治めるのが一番いいですよ」と説いて回っていたのだ。
その儒家がどのような手法を用いてコンサルティングを行っていたのか。その中核にあったのが「君子こそが正しい治世を実践できます、君子とはこれこれこういった人物なのです」という「政治理論」だった。
【次ページ】法家が儒家を批判する際に用いた「矛盾」の概念
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR
今すぐビジネス+IT会員にご登録ください。
すべて無料!今日から使える、仕事に役立つ情報満載!
-
ここでしか見られない
2万本超のオリジナル記事・動画・資料が見放題!
-
完全無料
登録料・月額料なし、完全無料で使い放題!
-
トレンドを聞いて学ぶ
年間1000本超の厳選セミナーに参加し放題!
-
興味関心のみ厳選
トピック(タグ)をフォローして自動収集!
投稿したコメントを
削除しますか?
あなたの投稿コメント編集
通報
報告が完了しました
必要な会員情報が不足しています。
必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。
-
記事閲覧数の制限なし
-
[お気に入り]ボタンでの記事取り置き
-
タグフォロー
-
おすすめコンテンツの表示
詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!
「」さんのブロックを解除しますか?
ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。
ブロック
さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。
さんをブロックしますか?
ブロック
ブロックが完了しました
ブロック解除
ブロック解除が完了しました