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- 2015/01/27 掲載
ベンチャー起業家はNo.1になるために「ONE PIECE的ムード」を作る(前編)
連載:名著×少年漫画から学ぶ組織論(22)
「負け犬の遠吠え」に不思議な魅力が宿る、ONE PIECEの悪役
ONE PIECEに登場する敵役のなかでも、特に人気のキャラクターが「サー・クロコダイル」だ。氏のセリフには名言が多いが、なかでもこれは異彩を放っている。
(サー・クロコダイル)
・・・・クハハハハ シャバは・・・
ずいぶん面白ェ事になってる様だな・・・
“白ひげ”を討ち取るにゃあまたとねェ好機ってわけか・・・!!
こりゃあさすがに血が騒ぐ・・・!!!
(海俠のジンベエ)
・・・・貴様・・・!!!
(火拳のエース)
・・・お前がオヤジの首を取るだと・・・!?
(サー・クロコダイル)
“ジンベエ”・・“火拳”・・・!!よォく覚えておけ・・・!!
“白ひげ”や“ロジャー”に勝てなかっただけで
涙をのんだ「銀メダリスト」達は・・・
この海にゃァごまんといるんだぜ!!!
(『ONE PIECE』 54巻 第529話 “Lv2 猛獣地獄”より)
ナンバーワンに勝てなかった「だけ」の銀メダリスト
が、サー・クロコダイル氏の口から発せられると、ただの遠吠えとも思えない、不思議な魅力を感じるのであった。
ちなみに冒頭の引用シーンについて、少しだけ解説をしておくと、サー・クロコダイルのセリフに出てくる「白ひげ」「ロジャー」とはかつて一時代を作った、伝説の海賊達である。
その昔、「白ひげ」や「ゴールド・ロジャー」に負けじと覇権を争っていたのが、サー・クロコダイルをはじめとする銀メダリスト達である。現在は牢獄につながれているクロコダイル氏が、外界ではかつて自分を退けた「白ひげ」が窮地に陥って入ると知って、喜び勇み、今こそリベンジを果たすべしと息巻いている、というシーンだ。
現実社会でも、同じようなタイミングで、似たようなアイデアを赤の他人が同時に思いつくということは珍しいことではない。今でこそ、グーグルといえば圧倒的な世界一の検索サービスを提供しているが、創業当時は数々の新興企業が同様のビジネスモデルで覇権を争っていたのは有名な話だ。
同じビジネスに取り組んでいても、ある企業は大きく成長し、他方はそうでもないという現象は、珍しくないばかりか、むしろ、よく見られるものである。
いったい何が成功者とそうでない者を分けるのか。サー・クロコダイル氏のセリフはこの問題を考えるにあたって、鋭い問題意識を投げかけている。
【次ページ】ベンチャー起業家はなぜ「ONE PIECE的ムード」を好むのか?
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