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- 2014/11/13 掲載
「働きマン」の休載は、女性の活躍が簡単ではないということを示唆している(前編)
連載:名著×少年漫画から学ぶ組織論(18)
女子力開花内閣とは何だったのか?
女性閣僚が、過去最多の5人選出され「私の感覚では、女子力開花内閣」と安倍首相が語った第2次安倍改造内閣。衆議院と参議院で合わせて60人近い「入閣待機組」の自民党男性議員から、恨み節が止まないとの報道も記憶に新しいが、次々と政治資金問題が取り上げられ進退が問われるなど、前途多難の感が否めない。
そうした目先の動きはさておき、社会のなかで女性の存在感が増していくことは明らかであり、いまふたたび、社会が大きく変わろうとしているということには違いないと思える。
今日では、「ウーマン・リブ」という言葉を耳にすることも、口にすることもなくなってしまったが、女性の社会進出の本家本元といえば、折しも今年の9月に訃報が報じられた土井 たか子氏に象徴されるような「闘争」的なものであった。ちなみに、男女雇用機会均等法が施行されたのは昭和61年で、それは社会党で土井氏が党首となった年でもある。赤坂にはアークヒルズが建ち、いよいよバブル景気が始まった頃だった。
しかし、こうした「女性と社会進出」と「男性社会との闘争」という両テーマの対立構図は、今どき有効に機能しない。対立するかどうかという以前に、男性も女性も等しく「人口減少問題の結果として引き起こされる経済的課題」という問題に直面しているからだ。
まず、これから社会は「望むと望まざるとに関わらず、男女ともに働かねばならない」という問題だ。長期的な不景気で経済の展望が見通せないなか、結婚を考えている男女のなかには「共働きという形をとらなければ、望むような暮らしのレベルを維持できない」という感覚が一般化しつつある。
それを明らかに示すのが「共働き等世帯数の推移」である。いまや専業主婦世帯と共働き世帯の比率は逆転している。いまや「女性と社会進出」というテーマは、社会正義の問題ではなく、現実的に目の前にある課題である。
また同じ女性でも、世代が違うと価値観も状況も大きく異なる。同じ世代でも、専業主婦と働く女性との間には大きなギャップがある。当然、独身か既婚かで大きく状況は違うし、同じ既婚者でも、子供がいるかいないかで、全く立場が異なる。男女の間だけでなく、ありとあらゆる世代や立場でその利害が相反するのが現在の状況だ。
「女子力開花内閣」とは、そうした社会の変化を「いかにも敏感にとらえました」という自意識を感じるキャッチフレーズだが、どことなく現実味がないように思える。
女性編集者を描く漫画「働きマン」が予見していた世界とは
以上の視点をふまえて、安野モヨコ「働きマン」という作品を読むと、女性と男性という対立構造だけではない、数多くのギャップによって引き起こされているさまざまな混乱を予見していたような印象を受ける。本作は、2004年から2008年の間、講談社『モーニング』にて連載された。講談社と週刊現代をモデルにした架空の出版社「豪胆社」と、架空の雑誌「週刊JIDAI」の編集部を舞台に、28歳独身女性の主人公 松方 弘子の活躍を描いており、2007年には女優の菅野 美穂主演でテレビドラマ化された。
【次ページ】当初は爽快な物語だった「働きマン」
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