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- 2014/07/26 掲載
スラムダンクから学ぶリーダーシップ “モチベートする言葉”の本質とは何か(後編)
連載:名著×少年漫画から学ぶ組織論(11)
孫子兵法で語られるモチベーションとは何か
組織におけるモチベーションや、それに基づく構成員の統率という問題は、孫子兵法においても最も重要な要素だ。「謀攻篇」では、「勝利を得るための五つの要点」の一つとして以下のように語られている。上下の欲を同じくする者は勝つ。
(孫子兵法 謀攻篇より)
これをノウハウとして詳しく語っているのが「行軍篇」の一節であるが、そこで解説されるのは、組織における「賞罰」の原則である。
卒未だ親附せざるに而もこれを罰すれば、則ち服せず。服せざれば則ち用い難きなり。卒已(すで)に親附せるに而も罰行なわれざれば、則ち用うべからざるなり。故にこれを合するに文を以てし、これを斉(ととの)うるに武を以てする、是れを必取と謂う。
(孫子兵法 行軍篇より)
兵士がまだ将軍に親しんで付き従っていないのに罰が厳しいと、納得しないので言うことを聞かない。逆に、兵士が将軍に親しんで付き従っている状態でも、罰則がなければ、気が緩んで誰もいうことを聞かない。軍隊の上下が一体となって動く状態を生み出すためには、信頼、親しみを生み出す「文=人望」と、厳密な運用を可能とする「武=強制力」の両方が必要である、という意味である。
これは、現代において「モチベーション」が重視されている状況とは、少し違っている。今日、私達が「モチベーション」という言葉を使うとき、「内発的動機づけ」、つまり人々の心の内側から、自発的に湧き上がるものがイメージされることが多いのではないだろうか。
これは案外重大な要素であり、例えば「背水の陣」という故事を考えた時に、孫子兵法的な世界観の残酷さを知らされるのである。
【次ページ】「背水の陣」でモチベーションを保てるか?
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