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  • 2014/01/22 掲載

古典から真の意味を学ぶ 計画にとって「情報」とは何か

連載:名著×少年漫画から学ぶ組織論(2)

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計画をできるだけ計画通りに進めるために「正確な情報」が必要であるということは、現代を生きる私達にとってはあたりまえの大前提である。しかしその「情報」に振り回され、無駄な戦いを強いられているという矛盾した現実もある。一体情報とは、どのようなプロセスで管理され、活用されるべきものなのだろうか?

計画遂行とは、複雑に絡み合った情報との戦いだ

 計画は必ず狂うものである。これは前回述べたとおり、現代の企業組織に生きる全ての人々が直面する課題だ。

 計画が計画通りに進まない最大の理由は「情報」が不十分だからである、と普通は考える。計画はいつだって、不測の事態や想定外の事象によって邪魔をされる。仕事にトラブルが生じる時、最初から言ってくれれば対処していたのに、という言葉が漏れることは非常に多い。

 今回は、計画の遂行において、私達が「情報」を、どのように捉え、向き合っていくべきかを考えていきたい。

 例えばビジネスの現場で扱う情報として、マクロ経済情勢を頭に入れないということはありえない。それに加え、取引先や外注先、相手企業のキーマンや競合先など、交渉相手やそれを取り巻く利害関係者に関するものは極めて重要である。これをおさえずして営業は絶対に成功しない。

 とはいえ、たとえそれらの情報が全て自分に有利であることを示しているような場合でも、なぜかうまく受注に結びつかない、ということも起こる。実際の商談や交渉の場になると、また別の次元の力が必要となるのだ。

 実際に意思決定を行う際には、それらのような客観的な情勢はさておき、相手の人柄を含めた信用力のようなものもまた、重要視される。また、その案件そのものだけでなく、それを動かすことによる政治的なメリット・デメリットも計算される。これらは言ってしまえば、交渉にのぞむ相手の「機微」であるが、これをつかめているかどうかが、交渉の成否に大きな影響を与えるものなのだ。

 マクロ経済情勢、交渉相手及びその利害関係者に関する状況、対面するキーマンの機微。

 例えば「営業」という活動で必要とされる情報とは、この3つのレイヤーに大別される。たったこれだけでも、正しく運用されるためには職人的な技術が必要とされる。

 振り返って考えると、事業とは、資金調達から始まって、人の採用や営業拠点の確保、製造ラインの構築と、ありとあらゆる場面で同じような複雑な情報の取捨選択を経て運営されていくものだ。

 このように考えると、確かに事業運営とは、極めて膨大な量の、複雑に絡み合った情報との戦いである。

 ビジネスの現場にいる私達は、常に情報に振り回されている。むしろ、余計な情報を見ていたせいで、キーマンの機嫌を損ねて商談をふいにすることもある。情報とは、ただあればいいというものではなく、その場の目的に基づいた、意味のあるものでなければ役に立たないのだ。

 このように、「計画において、いかに情報を取捨選択すべきか」を考えると、結構これが難題だということに気付かされる。

 ここでやはり引用したいのが、「進撃の巨人」だ。

 着目したいのは、この作品に流れる独特の緊張感である。すなわち、「敵がなかなか見えてこない」という状況からくる緊張感だ。

 巨人は敵ではない。「巨人」という形で確かに「脅威」は目の前に迫ってくる。しかしその背景や意図、味方であるはずの組織内部における腐敗や足の引っ張り合い、これらを含めて、何に対してどのように戦えばいいのか、これが見えないということが、真の主題となっている。

 すなわちこれは「情報云々以前に、真の敵がどこにいるのかが見えない」という問題なのである。

【次ページ】何を信じたらよいのかわからない状況下での選択
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