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一元的に集めたデータは、21世紀における新たな天然資源である――。今日、データは毎日大量に生成されている。企業内ばかりではなく、インターネットには接続された機器が、また個人が生活を記録するソーシャルメディアが、情報爆発の源となっている。そうした膨大なデータから何を読み解くか。「世界ICTサミット2014」に登壇した日本アイ・ビー・エム 代表取締役社長 マーティン・イェッター氏は、同社の顧客におけるビックデータ活用事例を交えつつ、有用な情報を生み出すための第一歩である、データ精製の重要性を語った。
データは21世紀における新たな天然資源である
世界ICTサミットでの登壇が今回で3回目になるというマーティン・イェッター氏はまず、われわれは今、技術とビジネスに大きな影響を与える3つの重要な“グローバルシフト”を目撃していると語った。それらはデータであり、クラウドであり、協働である。
「IBMは、データを新しい天然資源と考えている。それも経済的な成長と社会に重大な変化をもたらす資源である。100年に1つの発見が、18世紀は蒸気動力、19世紀は電力、20世紀は炭化水素だとしたら、21世紀は一元的に集めたデータの力である」
クラウドはビジネスの進め方を変えており、クラウドを採用することによって、新しいビジネスを簡単に始められるようになった。ビジネスプロセスとITがサービスとして提供されるからである。
協働というのは、ソーシャルメディアやネットワーク上で交わす社員と顧客の間でのコミュニケーションや約束を意味する。
1つだけでも十分に大きな変化だが、これらが3つ同時に起こることによって大変な変化が起こっているのだ。
データは原油、うまく精製して有用な情報を生み出そう
なかでも、ビッグデータの存在は重要で、新しい技術、新しいビジネスがこれで始まろうとしている。今や1兆個ものネットワークに接続された“モノ”が世界中でデータを生成しており、日本では620万ギガバイトにも上る構造化されていないデータが毎日生成されている。
これは2時間ドラマデータに換算すると、すべて見るのに300年かかるという量だ。当然、従来の技術では解析するのは不可能で、これを意味あるものにするにはまったく異なる技術が必要になる。
とりわけ、モバイルコミュニケーションのトラフィックデータ量に関しては、日本は世界的なリーダーで、2017年までには14倍に増えると予測されている。日本政府発行の白書でも、ビッグデータは少なくとも10兆円もの経済価値をもたらし、データを適切かつ効果的に扱うことで、社会的に12~15兆円のコスト削減を実現できるとも期待されている。
しかし、実際はデータのボリュームはそれほど重要ではないとイェッター氏は語る。同氏曰く、「データを統合して可視化することこそが本質」なのだという。
同氏はそれを、原油にたとえた。石油は技術によって精製し、ここからさまざまな石油製品を製造したとき、本当の価値を示す。1バレルの原油は159リットルだが、ここからガソリンに精製されるのは、わずか7~73リットル程度にすぎないのだ。
我々は今やこれなくして生活できないのだから、もっと原油を活用したい。このように、ガソリンの精製が重要なのと同様にデータの精製こそが重要なのである。
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