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  • 2014/11/17 掲載

目指すは任天堂モデル!?角川氏とドワンゴ川上氏が語る日本流コンテンツビジネス

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2014年10月1日、KADOKAWAとドワンゴが経営統合し、持ち株会社としてKADOKAWA・DWANGOが設立された。今後、出版のKADOKAWAとネットのドワンゴはそれぞれが持つ強みを生かし、いかにシナジーを発揮していくかが問われている。一大コンテンツ企業になった同社が描く、ビジネスの未来像とはどのようなものなのか。「Akamai Digital Media Conference 2014」の基調セッションで、KADOKAWA・DWANGO 取締役相談役の角川歴彦氏と、同 代表取締役会長の川上量生氏が語った。

“ジャンルが同じでやっていることが違う”KADOKAWAとドワンゴ

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KADOKAWA・DWANGO 取締役相談役
KADOKAWA 取締役会長
角川 歴彦 氏
 まずKADOKAWAとドワンゴが経営統合に至った経緯とはどのようなものだったのか。この点について、角川氏は「出版や映画、ゲームなどアナログコンテンツを持つ我々と、デジタルコンテンツを持つドワンゴが一緒になることで、強烈な補完関係が成立すると考えた」と語る。

 川上氏もまた「シナジー効果は非常にある。本来KADOKAWAとドワンゴは、ジャンルとしてとても相性がいい」と強調した。そのジャンルがサブカルチャー、いわゆる“サブカル”だ。

「元々KADOKAWAはサブカルの本家のような会社。ドワンゴが提供する動画共有サービスのニコ動(ニコニコ動画)のコンテンツのかなりの部分が、KADOKAWAコンテンツに関係するもので占められている。ニコ動での一番人気は、少し前までは初音ミクだったが、今では角川ゲームスが開発してDMMが配信する“艦これ(艦隊これくしょん)”だ。つまりKADOKAWAとドワンゴはジャンルが同じで、やっていることが違う。一番シナジー効果が出やすいパターンではないかと思っている」(川上氏)

 一方でネットの世界は、アップルやグーグル、アマゾンといった米国企業が支配している。気が付けば日本のコンテンツ配信もそうしたプラットフォーム上にあるが、それが両社の経営統合にも関係しているのだろうか。

 これに対して角川氏は、「世界的なサービスを考え付くのは、やはり米国勢。それに対して日本では市場をオープンにしている。そう言うと聞こえはいいが、実はどう受け入れればいいかという方策については、かまけているだけ。つまりは無策」と強調した。

「私は米国勢を受け入れて席巻されているままでいいのかという時に、日本の豊かなコンテンツ力を考えた。日本には初音ミクや艦これ、妖怪ウォッチ、あるいはアニメや漫画にも素晴らしい作品がたくさんある。やはり日本は頭脳大国だ。日本が世界に発信できるようなコンテンツ力をベースにして、現状にモノ申す存在になりたいと考えた。それが業界を守ることになるかもしれないし、一番基本的には、クリエイターを守ることに通じるのではないかと思う」(角川氏)

日本の進むべき道は、コンテンツとプラットフォームを一緒に作る“任天堂モデル”

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KADOKAWA・DWANGO 代表取締役会長
ドワンゴ 代表取締役会長
川上 量生 氏
 川上氏も米国勢がネットを支配している現在の状況については苦言を呈する。

「今グローバルプラットフォームに国内勢力が対抗できているのは、中国や韓国など国家ぐるみで保護している国だけ。それ以外の国ではほぼグーグルとアップルが圧勝している。日本も呑み込まれるのが必然という見方が国内にはあるが、しかし世界的に見れば、日本は非常に頑張っている国。そもそもスマートフォンの原点は日本のiモードで、それをグーグルとアップルが真似した。ソーシャルゲームも日本発のコンテンツだ。僕らはもっと自信を持っていい」(川上氏)

 さらに川上氏は「彼らのやり方をそのまま受け入れる必要はなく、そうではない道を見つけられると思う」と続ける。

「グーグルたちの考え方はある意味正当で、かつきれいなビジネスモデル。彼ら自身はコンテンツを作らないでプラットフォームに徹し、手数料で儲ける。非常に簡単なモデルで、ある意味、リスクもない。これに対して日本がやるなら、コンテンツとプラットフォームを両方、一緒に作っていくことではないか。僕はこれを“任天堂モデル”と呼んでいる」(川上氏)

 任天堂はゲーム機だけでなく、ゲームソフトも自分たちで作り、それによって世界的なプラットフォーム競争に勝ったという実績がある。

「日本は国際競争の中で、戦略や政治力という点においてはやはり弱い。そこでコンテンツの力を持ち、プラットフォームを作っていくというのが正しい方向性だろうと思う」(川上氏)

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