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  • 2014/03/28 掲載

統計家 西内啓氏が語る データ分析の極意「仮説よりも問いを考えよ」

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世界史上、統計学で最も儲けた国は日本だと語る統計家の西内啓氏。同氏は、その根拠となる1つの日本語として“Kaizen”を挙げ、「世界中のビジネススクールの教科書に載っている」と指摘する。しかしこの知恵は日本の製造業からいきなり生まれてきたものではなく、その背景には戦後来日して、国内製造業に様々な支援を行った米国の統計学者 ウィリアム・エドワーズ・デミング博士の教えがあるという。デミング博士が授けた知恵とは何か、その知恵を日本が活かすことができたのはなぜか、さらに今後日本はデータ分析にどう取り組んでいけばいいのか。先日行われたOracle Business Analytics Forumにて、西内氏が語った。

世界でもっとも「統計学で儲けた」のが日本

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統計家
西内 啓 氏
 デミング博士が日本の製造業に関わり始めたのは、1950年頃からだという。来日して日本の経営者や技術者に統計学を教え、それが根付いて色んな形でリフォームされてKaizenに繋がり、後々世界のビジネススクールで研究される対象となった。

 「その後1990年代初頭まで、日本の製造業は右肩上がりの成長が続きました。もちろん統計学だけの力だけでなく、国民全体の頑張りや、経済政策がうまくいったなど様々な要因はあります。しかし日本の製品がこれだけ世界を席巻したのは、高い品質と生産性があってこそでしょう」

 この品質と生産性を高めるための考え方こそ、デミングが日本の製造業にもたらした知恵である。

「大枠の考え方としては、まず品質や生産性を測るための指標を定めてきちんと測定することです。たとえば、作った製品の数や不良品の数、それらの完成品だけでなく、パーツ単位でも測定します。そして、測定したデータから平均値と値のバラつきを集計し、その結果を皆で見ながら、バラつきの原因に対処していくというものです」

 さらに西内氏は、企業が利益を生むための重要な要素の1つが品質であり、それを上げれば上げるほど利益も上がっていくというのがデミングの考え方のスタートだと続ける。

「品質を測るためのデータにバラつきが生まれた時、現場感覚のある人たちの間で話し合うことができれば、品質を上げるための具体的なアイデアが見えてきます。人のスキルが問題なら研修をしようとか、機械の能力がボトルネックなら投資をしようということ。こうした取り組みを徹底的にやり続けた結果、日本製品の品質と生産額は毎年上がり続けて、世界中で評価されることになったのです」

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デミングがもたらした知恵とは、品質や生産性を測るための指標を定め、測定し、結果を集計してバラつきの原因に対処することだった。

【次ページ】日本で実践でき、アメリカができなかったものとは?
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