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- 2014/10/30 掲載
舛添要一 東京都知事が語る「世界一安心・安全な都市・東京」に向けた危機管理対策
三宅島の視察で実感した“地球の持つエネルギーの凄まじさ”
「危機管理産業展(RISCON TOKYO)2014」の10回記念講演として登壇した舛添知事は冒頭、御嶽山の災害で亡くなられた方々への追悼の辞を述べるとともに、東京においても1986年には伊豆大島の三原山の噴火、2000年には三宅島の噴火があったことを振り返った。「全国にある110の活火山のうち、噴火の恐れがあるとされている常時観測火山は47、そのうちの7つが東京にある。私はその中でも特に活動が活発な三宅島を訪れて、噴火後の姿をこの目で見てきたが、地球の持つエネルギーの凄まじさ、自然の脅威を実感した」
こうした火山の脅威に対し、東京都では観測体制や情報の連絡体制を整備し、島外避難も都の地域防災計画に盛り込み、また噴火後に発生する泥流や土石流に対して砂防ダムも備えている。また2013年10月に発生した台風26号は観測史上、最大の降水量を記録し、伊豆大島では大雨による大規模な土砂災害が発生した。
「東京都内には、多摩・島しょ地域を中心に、土砂災害の恐れのある所が1万5000か所ある。2020年度までに土砂災害警戒区域、特別警戒区域の指定を完了させ、警戒避難体制を整備していきたい」
「戦慄を禁じえない数字。都知事としての最大の使命は、都民の生命と財産を守ること。現在、東京都では今後の都政の大きな方針となる長期ビジョンの策定を進めているが、その礎となるのは、安心と安全だ。また東京は2020年にオリンピック・パラリンピックの開催を控えている。開催期間中には国内外から選手や関係者、多くの観光客が訪れる。その安全を守り、史上最高の五輪を成功させるためにも、全力を尽くして東京を世界一、安全、安心な都市としていく」
首都直下地震の発生でまず懸念されるのは、木造住宅の密集地域、いわゆる“木密地域”での大規模火災だ。舛添知事も実際に歩いたという荒川区町屋地域には、入り組んだ狭い路地に老朽化した木造住宅が並んでおり、消防車が入れない。そのため、一たび大地震に見舞われれば、家屋の倒壊とその後の火災によって、甚大な被害が生じることが危惧される。
そこで東京都では現在、木密地域の中で震災時に特に甚大な被害が想定される約7000ヘクタールを対象とした「木密地域不燃化10年プロジェクト」に取り組んでいる。その柱は大きく2つで、1つめが老朽化した建物の建て替えの促進、2つめが延焼防止のための道路の整備だ。
「前者については、区と協議して不燃特区を指定し、建て替え費用の助成や税の減免などを行っている。既に38地区で実施しており、2015年度から事業を開始する地域を追加する準備を進めている。また後者についても、今の都市計画道路のうち、木密地域より発生した火災が燃え広がるのを防止し、さらに地域住民の避難経路や緊急車両の通路の役割を担う道路を重点的に整備していく。現在28区間、約26Kmを選定し、そのうち14区間で事業に着手した。残りすべても今年度中に開始する予定だ」
【次ページ】デング熱やエボラなど、感染症対策も重要な柱の1つ
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