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  • 2014/11/07 掲載

「ICTは間違いなく狙われる」東京五輪のインフラ・セキュリティ対策の課題とは

帝京大 志方俊之氏、東大 伊藤哲朗氏らが登壇

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2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定した。今後6年間で、会場施設の設営や輸送/通信インフラの整備、災害対策やセキュリティ対策などを実践していく必要がある。「危機管理産業展(RISCON TOKYO)2014」にて開催されたパネルディスカッションでは、帝京大学 法学部 教授の志方俊之 氏(コーディネーター)、東京都 青少年・治安対策本部 本部長の河合潔氏、元・内閣危機管理監で現在は東京大学 生産技術研究所 客員教授の伊藤哲朗氏、パナソニック 東京オリンピック 推進本部 副本部長の北尾一朗氏が登壇し、都市防災の観点からも重要なインフラ対策と、ICTをはじめとするセキュリティ対策に焦点を当て、現時点での課題と今後の取り組みについて語った。

企業や自治体の中に脆弱性があれば、そこがサイバーテロ攻撃の対象になる

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 はじめに、東京都の青少年・治安対策本部で本部長を務める河合氏が、2020年に向けた危機管理を考える上で課題となる現在の問題点について言及した。

「東京五輪は大規模行事なので、警備と交通対策が必要となる。また開催に当たっては、特に都民の日常生活に不自由をきたすことにもなり、国民の理解と協力が大前提となる」(河合氏)

 また、“アスリートファースト”の警備を実施しながら、VIPや数十万人規模の来日が予想される大会関係者や観客の警備では、多言語での対応が必要だ。

「“おもてなしの精神”に基づいたソフトな警備体制を確立しつつ、安心/安全は絶対に担保しなければならない」(河合氏)

 分散した競技場や長期間の警備体制など、厳しい環境下での警備が求められ、通常の治安活動と雑踏警備を両立させなければならない。民間警備員やボランティアなどの協力も必要となる。テロや組織犯罪、地震や津波などの震災、大規模事故といった大会運営に影響を与える脅威についても考えなければならないという。

「2020年の東京大会において何をすべきかは、1998年の長野大会との違いを考えれば見えてくる。以前は“冬季の地方開催”だったが、今回は“真夏の首都東京での開催”だ。大会規模も大きく異なり、広範囲に及ぶ。その上で、東日本大大震災の経験を踏まえた防災対策を含め、脅威発生への的確な対応を考えていく必要がある」(河合氏)

 また大会の運営と管理において、ICTはますます必要不可欠となるが、サイバー攻撃やサイバーテロの攻撃対象ともなりうる。警察当局や関係機関が、防御に最大限の力を注ぐのは当然だが、一方で企業や自治体の中に脆弱性が発見されれば、そこが攻撃対象になる。脆弱性対応のための自衛もまた必要だ。

「こうした危機管理に際して、過剰に反応する必要はない。しかし“こんなことは絶対に起きっこない”という完全な無視も大変危険だ。事前/事後の準備あるいは対応として、できることはきちんとやっておくことが肝要だ」(河合氏)

一番気を付けなければならない問題はテロ

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 次に福田康夫内閣の時に内閣危機管理監を務めた東京大学 生産技術研究所 客員教授の伊藤氏は、「発生する可能性のあるさまざまな危機に対して、対策を取っていく必要がある」と指摘する。

 2020年の東京大会では28競技が行われ、約1000万以上の観客が見込まれるという。それに加えて、2012年のロンドン大会では、選手や大会関係者が約2万2000人、メディアが2万人以上、VIPが約150人とのことで、こうした全ての人たちの安全を守らなければならない。

「その中で一番気を付けなければならない問題は、テロだ。オリンピック・パラリンピックは国際的な注目を集める大きなイベントで、テロリストが自分たちの主張や存在を世界中に訴えるために動き出すことが十分に考えられる。今から彼らの動きを注視しておく必要がある」(伊藤氏)

 また国内外の莫大な人数の人たちが一度に集中する中、人々の導線を確保しながら安全を守っていくことは非常に難しい。また炎天下での大会でもあり、熱中症などによる急病人が出てくることも十分に考えられ、その際には多言語での対応も必要だ。

 さらには交通対策も大きな課題の1つで、アスリートや関係者、要人、観客を安全かつ円滑に輸送しなければならない。各種輸送機関はあるものの、一定時間内の輸送力には限界があり、特に大勢の観客が集まる会場周辺の輸送対策は重要だ。同時にこうした対策を採ることで、会場周辺には交通渋滞も発生し、一般市民生活への影響も出てくる。

「交通総量規制もお願いしながら、やはり国民の協力が必要になってくる」(伊藤氏)

 また不良外国人対策やスリ対策、サイバーセキュリティ対策も重要な取り組み課題で、さらに日本特有の問題として、大きな地震のリスクが挙げられる。

「今後30年間でM7クラス以上の地震が5~6個は起こると言われている。それが東京大会の直前、あるいは真っただ中に発生する可能性もある。その対策もしっかりと考える必要がある」(伊藤氏)

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