前回、BCPを支えるインフラとしてのクラウドの有効性や、今後発展が有望視されるも医療クラウドとBCPとの関係について取り上げた。また、スマートシティやスマートグリッドという枠組みのなかで、医療クラウドが包摂され、これにBCPが融合されるという内容を、質疑応答の形式で紹介した。今回は、前回の内容を受けて、今後、医療情報ネットワーク全般がBCP拡充・発展とどのような関係を持ちうるのか、EHR(Electronic Health Record:生涯健康医療電子記録)の基盤構築と絡めて紹介していこう。
O氏:現在、国民を対象とした医療情報ネットワークであるEHR(Electronic Health Record:生涯健康医療電子記録)」の共通基盤の構築に向けた動きが始まっています。EHRは国民一人一人の生涯にわたる健康医療を電子的に記録し、患者のQOL(Quality of Life)を高めるため、地域医療の基底をなすシステムとなり、先進各国で取り組まれているテーマです。
ID-WSFは、Identity Web Service Frameworkの略称であり、ID連携環境間の統合を可能とするためのフレームワークである。
プライバシー情報や権限等が一極集中管理の基盤ではなく、それぞれの責任範囲に応じた分散管理を基本としている。また、セキュアな情報流通のニーズに対応し、情報提供者の同意にもとづく開示制御が可能である。
ユーザーの人間関係、ユーザーの友人情報やグループ情報などを特定する「PS (ピープルサービス)」や、ユーザーの認証情報提供、Identity Token提供、Identity Tokenマッピングを実行するための「認証、シングルサインオン(SSO)、アイデンティティマッピングサービス」といったサービスで構成されている。
ID-WSFのコンポーネント構成
(出典:オープンソース・ソリューション・テクノロジ講演資料)
また、地域BCPやITプラットフォームとの関係でいいますと、2009年から、産学官連携の災害・救急医療体制の実現に向けて、「GEMITS」(Gifu Emergency Medical supporting Intelligent Transport System)と呼ぶ救急医療体制支援システム構築のプロジェクトが行われています(注3)。