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- 2012/09/07 掲載
ソーシャルとスマホが変える「モバイルBCP」、O2OやLINEは企業の災害対策をどう変えるのか
【連載】変わるBCP、危機管理の最新動向
今回は、ソーシャルテクノロジーやモバイル・デバイスの業務利用とBCPとの関係、そしてこれら新しいテクノロジーを活用した次世代BCPとその可能性について、企業研修の記録を再編成したレクチャー・スタイルで紹介することとしよう。
レクチャーの講師として登壇していただくのは、ソーシャルテクノロジーの多元的な可能性についてさまざまな角度で探求しておられるS氏である。同氏は、大学やビジネススクールで教べんをふるうと同時に、企業研修での講演などでも活躍しておられる方である。
“ソーシャルBCP”がコミュニケーション・インフラとなる
それでは早速はじめることとしましょう。東日本大震災以降、BCPに対する認識が深まっていますが、同時に、それに関係する組織やテクノロジーも多様化を遂げていることは皆さんも感じていることと思います。
BCPの基本定義にもありますが、BCPは「原因となる災害・リスクの種類を問わず事業継続を重視し備える」という考え方で貫かれています。いいかえれば、防災・減災対策に限定されるものではありませんし、クライシスマネジメントで対象としているような、短期的で緊急時の危機対処として限定して理解するべきではないでしょう。
事業継続性の脅威となりうる潜在的で多様なリスクに備えるための、長期的視野にたった組織的な取り組みであるはずですし、そして組織間の連携といった「コミュニケーションのあり方」にまで踏み込んだ枠組みを示したものと解釈すべきでしょう。
実際、災害リスクが激甚化・複合化・広域化し、組織の責任所在も複雑化している現在、実効性あるBCPのブラッシュアップが大きな課題となっています。
それではBCPのブラッシュアップについて具体的に検証していきましょう。まず、BCMを現場レベルでの組織の単位、あるいはBCP実行部隊という視点でみた場合には、通常、次の4つのチームが考えられています。
- 予防対策チーム
- 緊急時対応アドホック編成チーム
- 復旧対策アドホック編成チーム
- 事後対応・継続対策チーム
これらBCP実行部隊は事業部ごとの総責任者との間のコミュニケーション/コーディネーションを司る役割を果たすことになりますが、これまでこの4つのチーム区分は、それぞれのタスクだけのために動く分離した組織として同定されていました。
しかし、東日本大震災以降のBCPから、この認識に大きな変化が起きています。これら複数の対策チームは、それぞれのタスクだけのために動く分離した組織ではなく、現場対応力や現場への権限委譲(エンパワーメント)が重要な鍵を握っていることの認識が高まっています。
また、自治体、自治組織、市民、ボランティアスタッフなどとの横連携、オープンな連携を形成することを是とする傾向も強まっています。こうしたコラボレーティブな協働は、一言でいえば、ソーシャル・テクノロジーを活かしたBCP、すなわち“ソーシャルBCP”という考え方へ接近し、新しいBCPへ収斂していくと予想されます。
【次ページ】ソーシャル革命はBCPにも波及するか
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