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- 2014/06/02 掲載
「注目の新興市場はイラン、メキシコ」 イアン・ブレマー氏が語る、世界4大メガトレンド
2008年~2013年のメガトレンドは経済、今後のメガトレンドは地政学的問題
「アメリカ経済は持ち直しています。これは本物です。ユーロ圏も、もはやリセッションではありません。昨日は、ギリシャのプライマリーバランスが黒字化したというニュースがありました。スペインの競争力も向上し、イタリアも持続可能な年金制度ができました。中国のハードランディングの心配もありません。世界経済は、けっして素晴らしいとはいえませんが、それほど悪くもない状態です」
一方、2014年以降、急速に高まっているのが地政学的リスクである。ブレマー氏は、次の4つを今後の4大メガトレンドとして挙げた。
(2)中国の改革と成長、東シナ海の安保問題
(3)ロシア問題
(4)イラン問題
いずれも政治的な問題だが、それがいずれは経済にも影響を与えることになる。大企業の関係者であれば、この4つについて最も注意を払うべきであると、ブレマー氏は強調した。
凋落するアメリカ外交と台頭する中国の不確実性
「オバマ大統領自身が、国連で『アメリカは、もう世界の警察官にはならない』と言っています。それは、シリアの件を見れば理解できます。イスラエル、パレスチナでも、ウクライナでもそうでした。これは、アメリカ国民の意思です。イラク戦争は嫌だった。アフガニスタンにももう関わりたくない。シリアにも関わりたくないし、ウクライナもそう。その思いは、大統領よりも国民の方がより強いのです」
オバマ大統領の任期は、あと3年未満だ。次はヒラリー・クリントン氏、もしくは共和党の候補ということになるのだろうが、大統領が変わっても、アメリカの外交政策が凋落を続けることに変わりはないというのが、ブレマー氏の見解である。
2番目の大きなトレンドが中国だ。「チャイナ+1」と言われて久しいが、「私自身は、最後にやっと中国に強力なリーダーが出てきてうれしい」とブレマー氏は習近平氏を高く評価する。
「習近平氏は、腐敗退治、エネルギー改革、金融改革、国有企業の改革など、本物の改革をやろうとしています。これらすべてに成功すれば、日本企業も含めて、外資系企業は中国に投資しやすくなります。しかし、問題があります。成功するかどうかわからないということです」
現時点では、習近平氏率いる中国共産党は安定している。しかし、いずれ反対勢力の抵抗に合う。したがって、中国の不確実性は、他の大国と比べて高いというのが、ブレマー氏の見立てである。
【次ページ】なぜイランは注目の新興市場なのか
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