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  • 2015/10/13 掲載

コトラー教授が語った「マーケティングと資本主義の関係」、問題の本質はどこにあるか

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マーケティングの父、フィリップ・コトラー教授は、「マーケティングこそが、資本主義が生む供給を吸収するに足る需要を作り出す原動力」と説く。またコトラー教授は、市場志向が高い企業ほど、収益増大、人間重視、環境保護という3つのテーマを追究するという。なぜ企業にとってこうしたテーマが重要なのか。13日より開幕した「ワールド・マーケティング・サミット・ジャパン2015」の基調講演に登壇したコトラー教授が語った。
ビジネス+IT編集部 松尾 慎司

ビジネス+IT編集部 松尾 慎司

 ワールド・マーケティング・サミット・ジャパン 2015が13日、開幕した。同サミットは「マーケティングで世界をより良く」をスローガンに、世界のマーケティングリーダー20名と日本の実業家、学者12名が世界経済で企業が勝つためのアイデアを分かち合う。東京で開催されるのは2回目で、今年のテーマは、「デジタル時代においてグローバルマーケットで勝つためには(Winning Global Markets in Digital Age)」。基調講演では、同サミットの提唱者で、マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラー教授らが登壇したので、その模様の一部をお届けする。


デジタルイノベーションは何をもたらすのか

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ワールド・マーケティング・サミットジャパン
カウンシル代表
高岡浩三氏(ネスレ日本 CEO)
 まずワールド・マーケティング・サミットジャパン カウンシル代表 高岡浩三氏(ネスレ日本 CEO)の講演の概要は以下の通り。


 今の世界は、デジタルイノベーションで定義されています。この技術というのは、絶えず進化を続けており、進化のスピードはさらに速くなっています。

 デジタルイノベーションは、私たちの働き方を変えました。他の人たちの接し方や世界の見方も変えていきました。境界がなくなってきたのです。そして、絶え間ないチャンスが生まれてきて、そして不可能だったことを可能にしてくれました。

 将来がどうなるのかはまだ想像することもできませんが、人工知能、IoTが今後ますます重要な役割を果たすことは間違いないでしょう。

 マーケッターとして、私たちはこうしたどんどん新しく生まれてくるチャンスをとらえ、そして消費者価値を創り出していくことは「課題」であり、「義務」です。

 マーケッターとして、私たちはまさに世界の最先端にいます。我々は消費者の行動やトレンドを把握していますが、将来のニーズもとらえていかなければなりません。

 そしてこれは、日本のように飽和しているマーケットでは非常に重要になっています。日本は、超高齢化社会を迎えています。これが新しい消費者行動に結びついており、仕事の仕方を変えようとしたり、コミュニケーションスタイルを変えようとしています。

 日本は、世界で最も発展した国です。ロボット、ハイテク、コミュニケーションで最先端をいっています。また、たいへんユニークなポジションになっています。日本が現在、直面している人口動態的な問題に対して、他の国々がおそらく今後数年間で直面するからです。

 今後2日間をかけて、私たちは新しい仕事のあり方、仕事のあり方を日本、そして日本を超えて探っていくことになります。私も個人的にいろいろな新しい発見に期待しています。

マーケティングの役割とはいったい何か

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フィリップ・コトラー教授
ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院
SCジョンソン国際マーケティング
ディスティングイッシュトプロフェッサー
 フィリップ・コトラー教授の講演の概要は以下の通り。


 最初に、マーケティングがどうしたら、1%の資本主義の恩恵を受ける人だけでなく、より多くの人にとって資本主義が有効に活用できるのか、ということを考えたいと思います。

 アメリカの億万長者が今よく言っているのは、「人々が槍をもって押しかけてくるのではないのか」ということです。もっと富を多くの人々に共有しなければならないということです。世界は、トリプルボトムライン、「利益」「地球」「人」をいかにして共有できるのかということを考えていく必要があるのです。

 世界は急速に変わっています。70年代から90年代にかけて、日本は次々と産業を席巻していきました。自動車、バイク、テレビ、カメラ、腕時計。また、新しいコンセプトをどんどん生み出していきました。「カイゼン」は、どこでもより良くしていくことですし、常にカイゼンを続けていくことです。品質、TQ、総合的品質といった言葉もこの時に生まれました。当時、最先端の国でもかなり品質は低かったのです。これらは、90年代に日本がもたらした贈り物、ギフトでした。

【次ページ】資本主義はマーケティングを必要としている
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