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  • 2014/11/26 掲載

大前研一氏が指南する日本企業の戦い方の4条件、自らの事業を再定義するCXM型も重要

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インターネットの進展により、ネットとリアルの融合が始まっている。このような状況のなか、グローバル競争も変容しつつある。日本は世界に向かって一体どのように戦っていけばよいのだろうか? ビジネス・ブレークスルーの大前研一氏は、異端ともいえるグローバル・プレーヤーたちの戦略や、注目すべきイノベーションなどの最新動向を踏まえながら、日本企業の次の一手となる「戦略の選択」について解説した。

新しい秩序を書く人間が勝つ! 21世紀の異端児による成功事例

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ビジネス・ブレークスルー 代表取締役社長
ビジネス・ブレークスルー大学 学長
大前 研一 氏
 「Hitachi Innovation Forum 2014 TOKYO」の基調講演に登壇した大前氏は冒頭、次のように切り出した。

「21世紀は、産業の垣根が消え、リアル・サイバー・グローバル・マルチプルという四分野で闘う空間が拡大した。そして3つのクラウドとして、コンピューティング・ソーシング・ファンディングをバネに、個人でも大企業に挑戦できる時代になった。いま台頭してきた企業は急速に大きな脅威となっており、その成長サイクルも短くなっている。かつてNetscape社を立ち上げたマーク・アンドリーセンのような人物がスーパーエンジェルとして彼ら支援している。これからは新しい秩序を書く人間が勝つだろう」(大前氏)。

 同氏は、実際に秩序をぶち壊し、世の中を変えてきた異端者による成功例についても紹介した。たとえば、ツイッターの創業メンバーのジャック・ドーシー氏はSquare社を設立し、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末をPOS端末化して、クラウドで管理できる洗練されたサービスを月額3000円程度で提供。将来的に既存市場に大きなインパクトを与えると予想されている。

 世界最大の小売店を標榜したAmazon創業者のジェフ・ベゾス氏も異端者の一例だ。当初は書籍の小売りからスタートした同社だが、最近では物量的にも品揃え的にもグローバルになり、自動値付けによる安値での提供や、高度な検索、リコメンデーション機能などにより、実店舗の利便性を上回り、どんどん旧来のサービス領域を侵食している状況だ。

 PayPalの前身企業を設立したイーロン・マスク氏は、成長が見込まれる電気自動車の分野に参入し、テスラモーターズを設立した。同社は、自動車の概念を鉄の塊ではなく、ソフト商品として考えている。販売後にバージョンアップや不具合の修正が効くものとして捉え、旧来の自動車メーカーでは取れない対応を試みているところだ。

 自動車がITと融合した「コネクテッドカー」が本格化して、新しい可能性が自動車業界の構図を一変させようとしている。メーカー主導で製造されていたクルマは、今後は受託生産にシフトし、従来のモノづくり体制の見直しを迫られるかもしれない。大前氏は「これは、かつてPC業界でデルコンピュータがBTO(Build-Transfer-Operate)を導入した時の状況と似ている」と指摘する。

顧客、競争相手の見極めが難しく、「3つのC」を定義できない時代に

 また大前氏は「このような業界の構造変化は、自動車のみならず、放送業界でも起きている」と説明する。インターネットにより業界のレイヤー構造・水平分業化が進んだ。コンテンツをつくれば、テレビだけでなく、タブレットやスマートフォンなどのモバイル端末でも視聴できる。配信ビジネスも変わりつつある。いまはコンテンツをダウンロードせず、定額制で見放題・聞き放題・読み放題のストリーミング配信が増え、いつでも好きな時にサービスを受けられるようになった。

「このような時代には、企業戦略の前提となる顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)という“3つのC”を定義できず、従来の戦略が機能しなくなってしまう。たとえばゲーム業界では、まずフリーで利用してもらい、あとで課金するモデルだ。どこまでが顧客なのか、その境目が分からない。一方、顧客だったアマゾンが自社で物流サービスを開始したりと、競争相手の見極めも難しくなってきた」(大前氏)。

 いま異端者たちがハンドリングする業界ナンバーワンといわれる企業は、異業種を次々と買収し、新分野へ切り込んで成長を続けている。「ひとたび強い地位を手に入れた企業は、次々にテリトリーを広げている。西部開拓の時代と似ている状況だ」(大前氏)。

 実際に前出のアマゾンは、物流ロボットメーカーのキバ・システムズを買収した。グーグルも日本のロボットべンチャーであるシャフトを傘下に置き、大きな話題を振りまいた。またアップルはヘッドフォンメーカーのビーツ・エレクトロニクスを買った。Facebookは、モバイルメッセジャーアプリのWhat's Appを巨額で手に入れている。

「この30年のIT市場の変化を眺めてみると、メインフレームからPC、モバイルへ、そしてウェアラブルになり、いつでもパケット網の中でユビキタスにつながっていく状況が実現のものとなった」(大前氏)。

【次ページ】生き残りを懸けた日本企業の戦い方の4条件
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