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  • 2010/11/04 掲載

外交評論家 岡本行夫氏:チリ落盤事故にみる企業のグローバル化における4つの教訓

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中国やインド、ブラジルといった新興国のGDPが大きく成長する中で、先進国が世界に占めるGDPの割合は減少する一方だ。これは世界の市場が先進国偏重ではなく、より多様な国への展開が必要であることを示唆しており、企業のグローバル化がますます重要な課題となっていることを意味している。企業はグローバル化とどう向き合えばよいのか。NTT Communications Forum 2010の特別講演で、外交評論家の岡本行夫氏がそのポイントを語った。

日本企業がめざすべきグローバル化とは?

photo
外交評論家
岡本アソシエイツ代表
岡本行夫氏
 NTT Communications Forum2010の特別講演で「グローバル社会における日本企業の変革」と題したセッションが行われた。同セッションでは、外交評論家、岡本アソシエイツ代表の岡本行夫氏とNTTコミュニケーションズ 代表取締役副社長 牧貞夫氏が登壇した。

 まず岡本氏は、先般チリで発生した鉱山の落盤事故とその救出作業を次のように評するとともに、活躍した日系企業があったことを指摘した。

「遭難者が無事救出されたのは、奇跡のオペレーションといってよい。今回、救出作業中に閉ざされた坑道と地上をテレビ会議回線でつないだMicomo社は、NTTコミュニケーションズと現地企業の合弁企業であり、長年の技術指導や技術移転を行っていた会社で、同社もテレビ会議システムの地上部分のインフラ提供を行っていたということは注目したい」

 こうした日系企業の活躍に加えて、さらにこの事故から今の日本企業が学ぶべきグローバル化の4つの教訓が示されたという。

危機を的確に認識し、スピード感を持って動く

 岡本氏が指摘した1つめのポイントはスピード。チリの事故で大統領以下政府の対応や意思決定はすばやかった。これが33名の命を救った。危機が発生した場合、すべての作業の時間単位は早めなければならない。週単位の作業は日単位、日単位のものは時間単位、といった具合に切り替えて行動することが重要となる。そして、初動の遅れは後の工程にも影響し、全体の活動や結果に悪影響を及ぼすことになる。この点について岡本氏は阪神淡路大震災を例に挙げ、当時の政府の対策遅れを指摘した。

 企業においても危機管理は重要で、日本企業が危機管理や対応に失敗し、最後にテレビの前で経営陣が頭を下げることしかできないのは、危機を正しく認識する能力やセンスが不足しているからだとした。情報や事実を隠すことで解決を図るという考え方はグローバルでは通用しないという。岡本氏も外務省時代に国会答弁に呼び出されることがあったそうで、その際、議員の質問を想定し、むしろ求められる以上にデータや情報を提供するほうが、質問者を納得させられ、反論も出にくかった経験を述べた。

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