7月9日、APC by Schneider Electric SOLUTION FORUM 2010の基調講演にて、経済学博士 竹中平蔵氏による「日本デジタル経済の行方」と題したセッションが行われた。グローバリゼーションとクラウドコンピューティングが進む「デジタル経済」の状況下において、日本と世界とのギャップ、それを乗り越えるため日本がとるべきアプローチについて、自身の政策論を交えながらの講演となった。
こうしたフロンティアの時代において常に強さを発揮する米国に対して出遅れることが多い日本の違いはどこにあるのだろうか。竹中氏は、「米国のフレデリック・ターナー(Frederick Jackson Turner)という学者が唱えたフロンティア論にヒントがある」という。米国のフロンティア時代は、まさに開拓史の時代であり、新天地に生活圏や経済圏を広げることにあった。米国にはこのポリシーが受け継がれた政府が機能し、国民もリスクをとって挑戦することで、しっかりとリターンを得ようとする姿勢の違いがあるからではないかと主張する。
しかし、そうはいっても、日本は依然として強い経済力を持ち、潜在力も高いと竹中氏はいう。たとえば、トロント大学のリチャード・フロリダ(Richard L. Florida)という都市経済学者が、地球上の夜間の衛星写真から、20~40の光の塊に分類し、それを「メガリージョン」と名付けた。そのメガリージョンは地球上の生産の60%を担い、世界のイノベーションの80%を創出している。そのメガリージョンの中で最もGPDの多い地域が、東京を中心とした地域だったという。