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ゴールドマンサックスの試算によれば、2006年は世界のGNPで日本が占める割合は12%だったが、2050年には3%まで下落する見込みだ。日本の存在感が希薄化する中、本格的な復活を果たすにはどうすればよいのだろうか。EC(電子商取引)の規制緩和の重要性、クラウド+光の可能性、日本企業にとってのビジネスチャンスはどこにあるのか。楽天 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏とソフトバンク 代表取締役社長 孫正義氏が登壇、対談した。
日本経済の現在と将来
今回、三木谷、孫の両氏が登壇、対談したのは、一般社団法人ブロードバンド推進協議会主催のブローバンドサクセス(BBA)シンポジウム、「国民の、ITによる、日本復活~ブローバンドサクセス100%がもたらす国民生活の変貌とポテンシャル~」。
まず、楽天 代表取締役会長兼社長 三木谷浩史氏は、日本経済低迷の原因について、ECの利用率が諸外国より低い点を挙げ、特に政策面での規制が産業の阻害要因になっているとした。
中でも、2009年に施行された改正薬事法による医薬品のネット販売規制を厳しく批判。改正薬事法では、「第一類医薬品」「第二類医薬品」に指定されているかぜ薬や解熱剤などの医薬品は、ネット販売が禁止となった。「なぜ、増毛剤をネットで買えないのか、その危険性はなにか」「ビタミン剤やそれに類する第3類しかネットで販売してはいけないという理由が分からない」「消費者が自身の判断と責任によって購入するがなぜいけないのか」と、不要な規制による経済阻害および消費者の利便性の低下を指摘した。
さらに、
表1に挙げるようなものをガラパゴス規制の例として挙げ、過剰な規制により、消費者・利用者や企業が不要なコストを負担させられ、社会経済全体の効率性が阻害されることを危惧した。
表1 三木谷氏が指摘する日本経済の競争力を阻害する規制 |
EC阻害の恐れ | モノ・カネの流通の阻害の恐れ | 企業活動の阻害の恐れ |
一般用医薬品の通信販売規制 東京条例改正(フィルタリング強制化など) ライフログ活用(行動ターゲティング広告)への過度な規制化の動き 食品表示の過度な規制化の動き NTTが進めるNGN | 「貸金業法」の総量規制など 「割賦販売法」での与信規制 | 法人税などの増税の検討 役員報酬個別開示規制 「公開会社法案」の検討 |
NTTのNGNの問題点については、技術的に“閉じたネットワーク”であるとし、Home GatewayをNTTが支配している点、独自仕様による囲い込みによって、国際的に使えないローカル網になっている点を批判。さらに、品質確保を名目にNGN以外の選択を制限することで、高コストインフラとなり、インフラが認証や著作権管理まで実施することになれば、サービスレベルの競争を阻害するだろうと指摘した。
総括として三木谷氏は、現状の日本が諸外国と比べて、ECの利用比率が低いものの、規制などによってそれが低いままで終わるのか、それだけ伸びしろがあると捉えられるのかによって、日本の経済成長を左右することになるとした。さらに、ECを積極的に利用できる仕組みが整えば、遠隔医療や遠隔教育に応用することで内需拡大につながるほか、関税や輸出入品規制を緩和することで、アジアをはじめとする諸外国への販路拡大を見込むことができるとして、関係省庁に呼びかけていることを明かした。
三木谷氏によれば、ベトナムでは今、「Japan Cool」ではなく、「Korea Cool」にあるという。というのも、韓国では国をあげてブランド確立に取り組んでおり、ドラマを通じたブランド浸透を図っている。日本でも「オールジャパン」でアジアでの地位確立を目指す必要性を説いた。三木谷氏は、日本の「脱ガラパゴス化」を実施し、日本の競争力を高めるための打ち手・戦略として、次の5つを挙げた。
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