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- 2013/08/08 掲載
伊藤洋一氏:日本企業のイノベーションは「ループ」(つながり)の発想にあり!
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「ループ」が広がる先にこそ面白いことが起こる
「やじうまプラス」(テレビ朝日)や「ニュース・アンカー」(関西テレビ)など幅広いTV・ラジオ番組にコメンテーターとして出演し、金融市場からマクロ経済、デジタル経済にいたるまで、軽快な語り口の分かりやすい経済評論で広く知られる人物だ。
7月25日に開催された「Oracle Optimized Data Center Summit」の特別講演に登壇した伊藤氏は、「なぜiPhoneが世界で爆発的に売れたのか。それは、アップルが作った製品がすべて『ループ』になってつながっているからです」と説いた。
一つの例として取り上げるのは、アップルがiCloudを通じて提供している「iPhoneを探す」というWebアプリケーションである。iPhoneやiPad、iPod touchなどのiOS端末、あるいはMacを紛失したり、外出先で忘れたり、どこに置いたか分からなくなった場合、ブラウザからiCloudへアクセスし、今現在の場所を検索できるというものだ。また、それらのデバイスに対して、メッセージを送信したり、サウンドを鳴らしたり、リモートでロックやデータ消去を行うこともできる。
「スティーズ・ジョブズ氏(故人)がすべてを自分の頭の中で考え、設計し、思いどおりのものを形にしたのがアップル製品。最初からループの仕組みができているのは、ある意味で当たり前なのです」。こうしたループが広がっていく先にこそ、「これまでにない面白いことが起こる」というのが伊藤氏の考えだ。
「同じループのもとでiPhoneやiPadといった特定メーカーのデバイスだけでなく、たとえば我が家のクルマ、我が家のエアコンといった具合にさまざまな製品や機器がつながっていき、お互いに情報をやり取りするようになると、どんなことが起こるでしょうか?我が家にたどり着く少し前に、運転中のクルマからリビングのエアコンのスイッチを入れるといったことが可能となります。さまざまな製品を横断的につなぐテクノロジーが普及することで、人々の生活はもっと便利で効率的、快適なものになっていきます。これからのITの可能性は、そこにあると私は見ています。」
また、ビッグデータ活用によって、こうしたループはさらに大きな広がりを持つ。
インターネットの利用拡大、iPhoneやiPadに代表される多機能なモバイルデバイスの普及、センサー技術の発展などにより、ヒトの行動やモノの稼働にともなう多様かつ膨大なデータが次々に生成されてくる。
これらのビッグデータを使い捨てにするのではなく、ITシステムに取り込んで、いま起こっている事象や変化をリアルタイムに判断したり、長期的に蓄積してデータ間の因果関係を分析したりすることで、ビジネスや生活に役立つ新たな価値を生み出すことができる。
「ITの利用には必ず正の側面と負の側面がありますが、目の前にあるデータを活用したいという流れを止めることはできません。ならば、より前向きに世の中に役に立つITやデータの活用方法を考えるほうが、建設的ではないでしょうか」と伊藤氏は訴える。その意味からも、さまざまなデバイスやシステムが情報を発信する力、情報を読み取る力、情報をつないでいく力が、今後ますます重要となっていく。
【次ページ】テクノロジーを生かせる組織に変革
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