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昨今、パーパス(存在意義)を掲げる企業が増えている。激しく変化するビジネス環境で、自ら変革を遂げて事業を成長させていくためには、数十年といった長期の視点で「ありたい姿」を貫く必要があるからだ。「パーパス経営」の第一人者であり、数多くの企業の実践もサポートしてきた京都先端科学大学 国際学術研究院 教授、一橋大学ビジネススクール客員教授の名和高司氏が、パーパスを基軸としたDXの実践方法、そして次世代イノベーションを創発する組織の在り方について解説する。

見据えるべきは「SDGsの“次”」、DXにもパーパスは必須

 17の持続的な開発目標を掲げたSDGsの期限である2030年まで、残り6年を切った。多くの企業が達成に向け取り組んでいるが、近視眼的になってはならない。名和氏は、「企業は現行のSDGsにとらわれず、18番目の新たな目標を高く掲げていただきたい」と呼びかける。

 そして同氏は、2050年をターゲットとする「新SDGs」を提唱する。「サステナビリティ(S)」「デジタル(D)」、分断したグローバルをつなぎ直す「グローバルズ(Gs)」、そしてこれらの中心を貫く「志(パーパス)」で構成される。

 パーパスは、デジタルによる変革「DX」を推進するために欠かせない要素だ。名和氏はDXの段階について、始まりとなるDX1.0はデジタルを活用した自社の変革、続くDX2.0は他社を巻き込みエコシステムに変革をもたらし、DX3.0では収益モデル自体を変革すると定義する。

「DXで最初にやるべきことは、高い志を立てることです。北極星、ムーンショット、最近ではマーズショットとも呼ばれる、現状では手が届かない高みを目指すのです。到達するにはデジタルを活用する必要があり、手段としてのDXが進み始めます。また、DXを進める中で最も難しい課題である『マネジメント変革』(MX)においても、パーパスは道しるべとなります」(名和氏)

 以降では、名和氏の著書『パーパス経営』のエッセンスを基軸としながら、DXを実現するアプローチや日本企業が陥りがちな失敗事例、イノベーションを創発する組織の在り方について、同氏が解説する。

この記事の続き >>

  • ・「DXn.0」それぞれの段階で結果を出すための実践的アプローチ
    ・御社は大丈夫? 日本企業の変革を阻む、典型的な“3つの病”
    ・次世代イノベーションを実現する組織の作り方、必要なのは「よそ者・わか者・ばか者」

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