- 2012/02/21 掲載
関西流ベタベタIT商法の挑戦84~伝説のレビューを武器に復活を果たす
合同会社 関西商魂 代表 中森勇人
OSKは大正11年に松竹の創業者である白井松次郎氏により設立され、その翌年、大阪松竹座のこけら落とし公演を行ったという伝説の劇団。この火を消してはならないと立ち上がったのは存続を信じて活動を続けた23名の劇団員とそれを支えるファンや地元の声援だった。
伝統と革新の融合を求めて
「最終公演がマスコミに大きく扱われたことから、すでにOSKは解散したと思われている方も多いかも知れません。しかし、残った劇団員を中心としたOSK存続の会が運動を続け、2004年に大阪松竹座での公演を66年ぶりに上演しました。それから7年の月日が経ち、昨年は大小合わせておよそ10公演を行いました。劇団員も31名が在籍し、2年制の研修所では14名の研修生が学んでいます」と川内社長。劇団の存続を続けるためには歴史と現実との狭間で揺れ動くシナリオがあったのだという。かつてOSKは娘役スターとして活躍した後、大女優となった笠置シヅ子や京マチ子など、多くの芸能人を排出してきた。老舗としての伝統もさることながらダンスレベルの高さでも定評がある。 大阪では劇団を贔屓にする古くからの旦那衆とも言える商店主も多く、名を汚すような公演を行うことは許されない。とはいえ戦前から続く古い形の興業では新たなファンの獲得は難しいのが現状である。
そこでOSKが取った方針は様々なメニューを設けて多様なニーズに応える公演を行うことだった。大正15年から始まった浪速の風物詩とも言える大阪松竹座での「春のおどり」を機軸としながら自治体などとタイアップした「真田幸村」のシリーズを上演。京都先斗町とのコラボレーション「総司恋歌~沖田総司の青春」では京都の舞妓や芸妓と競演。大丸心斎橋劇場では「心斎橋らぷそでぃ」と題し、昭和初期の大阪をテーマに“JAZZ歌劇”ともいえる新たなスタイルに挑戦し、ミナミの町の活性化に一役買った。他にも企業や団体の記念式典や商業施設のイベントでのショーなど、大小の規模を問わず、OSKのダンスを活かした時代にマッチした小回りの利くステージを展開している。
さらに劇団員やスタッフが一丸となり、チケットの販売や営業に奔走。そんな直向きな姿に動かされ「ほんならチラシ置いていき、会合があるから配っとくわ」と申し出るファンや商店主が後押しをする。まさに伝統と革新の融合である。
川内社長は今後について「新生OSKは再建の緒に就いたばかりです。これからも地元の方々やファンのみなさまの支持を得ながら、最高のステージを心がけていきます。万華鏡のようにキラキラと輝くステージで一生懸命に舞う姿を是非、見に来て欲しいと思います」と述べ、さらなる躍進への意欲を燃やす。
劇団設立90周年記念公演となる「レビュー春のおどり」は4月12日~22日の10日間、大阪松竹座で開催される。90周年の幕開けの瞬間をその目で確かめていただきたい。
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