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大阪が生み出した儲かる(売上アップ)のためのIT商法は、「使える物は何でも使う、便利を追求する、花より団子」とごちゃ混ぜの三拍子がそろっている。本連載ではそんなベタで面白いIT商法を紹介していく。
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合同会社 関西商魂
代表 中森勇人
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記者、編集、営業を1人でこなす
大阪に
「日本一明るい経済新聞」という新聞がある。この新聞を発行しているのは産業情報化新聞社代表の竹原信夫氏。竹原氏はたった1人で記者、編集長、営業部長、そして代表として新聞を発行している。
この新聞はタブロイド判でカラー8ページ。発行は月刊で発行部数は3万部。内容は京阪神間の中小・零細企業を中心に取材したものである。記事はとにかく明るく、クジ付き名刺を開発した会社、ベンツに乗って欧州車の修理をする業者、パソコンを行商で売りまくる電気屋さん、平均10万円の高級メガネを自動車で飛び込み営業する会社、畳の上で死にたい願望に応えて棺おけに畳を敷く葬儀社などアイデアで勝負しているところが多い。
竹原さんは自転車にまたがり、毎日2~3社の取材をこなす。そしてデジカメでインタビューをした社長や従業員の写真を撮る。実はこの写真が3万部を売り上げるミソなのだ。紙面を見ると、どの写真もカメラ目線でハッキリ写っている。
誰もが経験をしていることなのだが、集合写真などで最初に探すのが自分の顔。この原理を利用した見事な販売促進と言えるだろう。
作戦は見事的中し、新聞で自分の写真を見た社長は「100部買うわ」と注文を出す。そして、知り合いの会社を紹介してくれ、これがまた注文につながる。社長は宣伝になるので喜び、読者は面白い記事に喜び、竹原さんは新聞が売れて喜ぶ。これを関西商魂では“相乗り商法”と呼ぶ。
記事の一部はネットでも公開され、これを見たメディア関係者が情報源として新聞の年間購読を申し込むケースも多い。かつて新聞を手にした故小渕恵三首相から「明るい話題を載せていただいているのは、日本の活性化につながる。ありがたいことです」と“ブッチホン”がかかってきたこともあるというから驚く。
こんな竹原さんは大阪ではかなりの有名人。最近ではテレビで元気な中小企業のレポートをしたり、ラジオでコメンテーターをしたりと人気は鰻登り。実は竹原さん、前職は日本工業新聞の大阪の経済部長だった。東京本社への栄転を蹴って一個人としての道を選んだというからもったいない話だが、大阪が好き、おもろい話が好きという竹原さんにとっては当然の選択だったのだろう。
最近では京阪神地区に加えて東京でも新聞のテスト販売始めた。関西経済のビタミン剤を目指すという竹原さんの目の前には「日本一明るい関西」の姿が広がっているのかも知れない。
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