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  • 2019/06/13 掲載

毎月1GB超をDLするのか? Windowsの累積更新プログラムの「差分パッケージ」が廃止

連載:山市良のマイクロソフトEYE

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毎月第2火曜日(日本ではその翌日)はセキュリティ修正を含むWindowsの累積更新プログラムの定例のリリース日です。2019年4月と5月の定例のリリースでは、大きく変わったことが1つありました。それは、Windows 10バージョン1607~1803まで提供されてきた「差分(Delta)」パッケージの提供が終了したことです。
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累積更新プログラムの差分パッケージが廃止。パッケージサイズの行く末は?
(Photo/Getty Images)

Microsoft Updateカタログでの新たな差分パッケージの提供は終了

 今回取り上げるのは、Microsoft Updateカタログでダウンロード提供される更新プログラムパッケージについてです。

 2018年7月に以下の公式ブログ上において、Microsoft Updateカタログでの「差分(Delta)」パッケージの提供を、2019年2月の定例更新日(その月の第2火曜日)を最後に終了することがアナウンスされました。

 その後、顧客からのフィードバックに基づいて2019年4月の定例更新日まで2カ月延長されましたが、これを最後に5月からは新たな更新プログラムについて差分パッケージが提供されることはなくなりました。


 Windows 10の各バージョン(メジャービルド)に対して、セキュリティ修正およびバグ修正を含む品質更新プログラム(マイナービルドの更新)は、「累積更新プログラム(Cumulative Update)」と呼ばれます。過去にリリースされた更新プログラムの内容に、新しいセキュリティ修正やセキュリティ以外の修正を追加して、最新の累積更新プログラム(Latest Cumulative Update、LCU)が作成、提供されます。これが、毎月第2火曜日(日本では時差の関係で翌水曜日)にリリースされる累積更新プログラムです。

 通常、新たな更新プログラムが利用可能になると、Microsoft UpdateカタログでもMicrosoft Updateスタンドアロンパッケージ(拡張子「.msu」)の形式でダウンロード提供されます。Windows 10バージョン1607~バージョン1803、および同じビルドベースのWindows Serverに対しては、毎月第2火曜日にリリースされる累積更新プログラムについては完全版のフルパッケージとは別に、これまで差分パッケージが提供されてきました。

 差分パッケージは、Windows UpdateやWSUSでダウンロードを最適化する「高速(Express)」インストールとはまったく関係のないことには留意してください。Windows UpdateやWSUSを使用せず、手動で更新するためのMicrosoft Updateカタログで提供されるパッケージの種類の話です。

 差分パッケージは、前月の第2火曜日リリースの累積更新プログラムがインストールされた環境にのみインストールできる、追加分の修正だけを含むパッケージであり、ダウンロードサイズが大幅に小さくて済みます。

 たとえば、Windows Server 2016向けの2019年4月の累積更新プログラムはフルパッケージ「2019-04 x64ベースシステム用Windows Server 2016の累積更新プログラム(KB4493470)」のサイズが1374.5MBなのに対して、差分パッケージの「2019-04 x64ベースシステム用Windows Server 2016の差分更新プログラム(KB4493470)」サイズは389.2MBしかありません。

 差分パッケージの提供は2019年4月が最後になったため、2019年5月の累積更新プログラムはフルパッケージのみの提供となりました(画面1)。

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画面1:Microsoft Updateカタログの利用者には便利だった差分パッケージの提供は2019年4月の累積更新プログラムを最後に終了(画面上が4月のパッケージ、画面下が5月のパッケージ)

 なお、第2火曜日と翌月の第2火曜日の間の週には、翌月の第2火曜日の累積更新プログラムで修正される内容を事前にテスト(プレビュー)できるように、セキュリティ修正を含まない累積更新プログラムが提供されますが、この累積更新プログラムに対して差分パッケージが用意されることはありませんでした。また、Windows 10バージョン1809以降は、最初から差分パッケージの提供はありません。

しばしば起こるWindows Updateの更新トラブル回避に役立っていたが…

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 Windows Updateに任せた更新は、しばしばトラブルを引き起こし、運が悪ければ破壊的な問題(起動できなくなる、データ損失など)を引き起こすこともあります。意図せず、オプションの更新プログラムや機能更新プログラムがインストールされてしまい、ロールバックするのに多くの時間がかかったりもします。

 たとえば、5月の定例更新では、Windows 10バージョン1809およびWindows Server 2019において、特定の状況下で(それもかなりの再現性で)同じ累積更新プログラム「KB4494441」が2回インストールされないと、正常にマイナービルドの更新が完了しないという問題がありました。更新のためのダウンロードと再起動が二度必要になるため、更新全体の時間もいつもの二倍必要になります。

 筆者はこの問題を複数台で確認したあと、回避するため、Microsoft Updateカタログのパッケージを利用し、その後の更新を1回の再起動で済ませることができるようになりました(画面2)。

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画面2:累積更新プログラム「KB4494441」が2回インストールされる問題は、Microsoft Updateカタログのパッケージで回避できた

 Windows Updateの更新トラブルを回避するために、Microsoft Updateカタログのパッケージを利用しているユーザーや組織は意外と多いのではないでしょうか。

 個人であれば、その都度、手動でダウンロード、インストールするのが手っ取り早い方法ですが、累積更新プログラムには前提となる「サービススタック更新プログラム(Servicing Stack Update、SSU)」が必要な場合があることには注意してください。

 複数台のPCを持つ個人や、多数のPCを管理する組織であれば、共有フォルダにパッケージを配置してバッチファイルなどで展開したり、ソフトウェア配布ツールで自動配布したりといった使い方もできます。

 特に、Windows 10バージョン1607と同一ビルドのWindows Server 2016はパッケージサイズが大きく、Windows Updateによる更新は異様に時間がかかるなどトラブルが多かったため、Windows Server 2016の運用担当者には、差分パッケージの提供はありがたいことだったと思います。

 しかし、2019年5月からは1GBを大きく超えるパッケージを毎月ダウンロードして使用する必要があります。

【次ページ】5月の時点でパッケージサイズは約1.38GB。今後、どこまで巨大化していく?
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