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- 2018/07/18 掲載
Office 365更新のポイント整理 クイック実行(C2R)版の注意点やサイクルなど
連載:山市良のマイクロソフトEYE
最新Officeアプリの半期チャネルとLTSC
これまで説明してきたように、Windows 10の「Semi-Annual Channel/半期チャネル」およびWindows Server Semi-Annual Channelでは、年に2回(3月頃と9月頃)に機能更新プログラム(新バージョンへのアップグレード)がリリースされ、各リリースに対する品質更新プログラムの提供は原則として最大18カ月サポートされます。一方、企業向けWindows版Office 365アプリの最新バージョン(Office 2016バージョン)は、2017年9月以降、段階的にWindowsの半期チャネルにそろえられ、現在はWindowsと同様に、年に2回の新バージョン(Windows 10の機能更新プログラムに相当する新機能を含むYYMM形式のバージョン)のリリースと各リリースに対する最大18カ月の更新プログラム(Windows 10の品質更新プログラムに相当)のサポートが提供されています。
ここで言うOffice 365は、サブスクリプションで提供されるOffice 365 ProPlusのことです。Office 365 ProPlusの既定の更新チャネルは、「Semi-Annaul Channel/半期チャネル」であり、オプションで半期チャネルリリースを先行的に導入する「Semi-Annual Channel(Targeted)/半期チャネル(対象指定)」(Windows 10と日本語表現が少し異なります)」やWindows 10には存在しない「Monthly Channel(月次チャネル)」に切り替えることも可能です。
Officeの更新チャネルにはこの他にも「Monthly Channel(Targeted)/月次チャネル(対象指定)」や「Insider Fast/Insiderファースト」などありますが、一般/企業向けの正式リリースは、「半期チャネル」「半期チャネル(対象指定)」「月次チャネル」と考えてよいでしょう。中小企業向けのOffice 365 Businessや、コンシューマー向けのOffice 365 Solo、Officeパッケージ製品の既定は「月次チャネル」になります。
図1に、Office 365の半期チャネルがスタートした2017年9月から2018年4月までの各チャネルのリリース状況をまとめました。
「月次チャネル」は次のバージョンが提供されるまで、そのバージョンに対する更新の提供がサポートされ、常に最新バージョンを利用することになります。「月次チャネル」と同時、9月頃と3月頃、まず「半期チャネル(対象指定)」に対してその時に月次チャネルで利用可能なバージョンがリリースされます。そのバージョンはおおむね4カ月遅れで「半期チャネル」にリリースされます。各バージョンは半期チャネルを含め18カ月サポートされます。そのため、「半期チャネル」では2つのバージョンがサポートされるということになります。バージョン1708に注目すると、リリースサイクルが見えてくるでしょう。なお、最新のリリース状況とサポート期限については、以下のURLで確認することができます。
Release information for updates to Office 365 ProPlus
https://docs.microsoft.com/en-us/officeupdates/release-notes-office365-proplus
Office製品にはもう1つ、ボリュームライセンス製品(例:Office Professional Plus 2016)があります。これはWindows 10やWindows Server Semi-Annual ChannelのLTSC(Long Term Servicing Channel)リリースと同様の位置付けです。最低10年の長期サポートが提供されますが、リリース時の機能と仕様のままで、新機能が追加されることはありません。
更新プログラムの提供および更新方法の違い
企業向けOffice 365 ProPlus、Office 365 Business、コンシューマー向けOffice 365 Solo、パッケージ製品は、「クイック実行(Click To Run:C2R)」形式でインストールされ更新されます。一方、ボリュームライセンス製品は、インストールメディアからインストールするWindowsインストーラー(MSI)形式で提供されます。MSI形式のOfficeは、Windows UpdateやWindows Server Update Services(WSUS)を通じて、更新プログラムが提供されます(図2)。Microsoftダウンロードセンターから更新プログラムを個別にダウンロードしてインストールすることも可能です。これは、Office 2010以前の提供および更新方法と同じものです。
C2R形式はOffice 2013からボリュームライセンス製品以外の標準形式として採用されました。そして、次のOffice 2019では、MSI形式は廃止され、C2R形式でのみの提供となる予定です。
C2R形式のOfficeは、Microsoft Application Virtualization(App-V)というアプリケーション仮想化テクノロジーを応用したもので、Office CDNと呼ばれるコンテンツ配信ネットワークにある実行準備ができているインストールイメージを、クライアントにストリーム配信で受信し、実行するというものです。更新プログラムの提供や新バージョンもまた、Office CDNからイメージの差分をダウンロード(ダウンロードサイズは数十MB~300MB前後)して更新するという形になります(図3)。
更新機能はOfficeアプリに組み込まれており(より詳細に言うと「C:\Program Files\Common Files\Microsoft Shared\ClickToRun\OfficeC2RClient.exe」)、通常は自動的に行われます。もちろん、手動で開始することも可能です(任意のOfficeアプリの「ファイル」の「アカウント」から開始)。この更新処理にWindows Updateは関係しません。
C2R版Officeアプリの更新方法としては、後述するOffice Deployment Toolを利用した社内の更新ポイントからのインストールと更新、System Center Configuration Manager Current Branchを利用した配布の方法もあります。WSUS単体でC2R版Officeアプリをインストールしたり、更新したりすることはできません。
【次ページ】 C2R版Officeの更新で問題が発生したときの対処法は?
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