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  • 2023/10/18 掲載

Windows Update新機能追加も“複雑化”、企業にとっては「百害あって一利なし」

山市良のマイクロソフトEYE

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マイクロソフトはWindows 11バージョン22H2をリリースして以降、Windows Updateの機能に変更を加え続けています。これまでは個人(コンシューマー)向けと企業向けの大きく2つに区分できるシンプルなものでしたが、個人向けの更新プログラムのプレビューが企業向けでも利用可能になりました。より柔軟なコントロールができるようになったとも言えますが、単に複雑化しているだけにも思えます。
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画面1:管理されていないデバイスのWindows 10向けの2023年8月のCリリース。インストールするかどうかはユーザーの選択。ただし、.NET FrameworkのCリリースは意図せずインストールが始まってしまうことも

Windows Updateの基本的な体制と機能

 マイクロソフトは以前、サポート対象のすべてのWindowsバージョンに対する品質更新プログラムにおいて、セキュリティ問題の修正を含む品質更新プログラムは毎月第2火曜日(米国時間)に、セキュリティ問題の修正を含まない更新プログラムのプレビューはその月の後半にリリースしてきました。

 前者はPatch Tuesdayリリース、Update Tuesdayリリース、Bリリース、後者はCリリースと呼ばれることもあります。

 現在、Bリリースについては変更ありませんが、CリリースについてはWindows 10バージョン22H2、Windows 11バージョン21H2、およびWindows 11バージョン22H2に対してのみリリースされるようになりました。Windows Serverについては、2022年末までにCリリースのリリースは行われなくなっています。

 管理されていない個人のデバイスについては、Bリリースが自動更新で提供されます。Cリリースについてはオプションの扱いであり、ユーザーが明示的に選択しなければインストールされることはありません。

 ただし、Windows 10については、.NET FrameworkのCリリースについては、「更新プログラムのチェック」をクリックしてしまうとダウンロードとインストールが開始してしまうので注意が必要です(画面1)。

 Windows 11以降はその点が改善されており、.NET FrameworkのCリリースについても選択しない限りインストールされなくなりました(画面2)。

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画面2:管理されていないデバイスのWindows 11向けの2023年8月のCリリース。.NET FrameworkのCリリースもオプション扱いになって改善された

 管理されているデバイスについては、Bリリースのみが提供され、その配布をコントロール(延期など)することができます。

 管理されているデバイスとは、Windows ServerのWindows Server Update Services(WSUS)や、Microsoft Intune(更新リング、Windows Update for Business展開サービス、Microsoft Configuration Manager)、グループポリシーによる更新プログラムの延期設定(旧、Windows Update for Business ポリシー)で管理されているデバイスのことです。

 更新プログラムのコントロール方法については、何を使用するかで違ってくるため、今回は説明しませんが、これまでは管理されているデバイスにCリリースが提供されることがなかった点を覚えておいてください(画面3)。

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画面3:2023年8月のCリリースがリリースされても、管理されているデバイスには提供されることはない

Windows Updateに加えられる新機能

 .NET Framework向けを含めてCリリースがしっかりとオプション扱いになったのは、Windows 11バージョン21H2からの大きな改善点です。Windows 11バージョン22H2からは、品質更新プログラムの役割と、Windows Updateの機能に次々に変更が加えられてきました。

 具体的には、「品質更新プログラムによる新機能のロールアウト」(2022年10月~)、「新機能のロールアウトに関連した一時的なエンタープライズ機能制御」(2023年2月~)、「Windows構成の更新による新機能の段階的なロールアウト」(2023年5月~)、そして「企業向けのオプションの更新プログラムのコントロール機能」(2023年8月~)です。

 Windows 11バージョン22H2以降、機能更新プログラムを待たずに、新機能が継続的に追加される方針に変わりました。これは、内部的に「Moment #」と呼ばれるものです。これまで、Moment 1~Moment 4が提供されてきました。それぞれで追加された新機能については、各品質更新プログラムのリリース情報で確認してください。


 Moment 1およびMoment 2はCリリースがまずリリースされ、翌月のBリリースで一般提供されました。Moment 2では、「一時的なエンタープライズ機能制御」が導入され、新機能の一部が管理されているデバイスで無効化されています。

 無効化された機能は、ローカルまたはグループポリシーで以下のポリシーを「オン」にすることで、無効化されているすべての機能を有効にすることができます。

 このポリシーでオンにしない限り、無効化されている機能は次の機能更新プログラム、つまり、Windows 11バージョン23H2で有効になります。
コンピューターの構成\(ポリシー\)管理用テンプレート\Windows コンポーネント\Windows Update\エンド ユーザー エクスペリエンスの管理\既定でオフになっているサービスによって導入された機能を有効にする(Enable features introduced via servicing that are off by default)
 この記事の執筆時点ではMoment 2の新機能の1つである「2-in-1 デバイス用のタッチ最適化タスク バー」だけが無効化されています。実例が1つだけであり、今後も一時的なエンタープライズ機能制御が利用されるのかどうか分かりません。

 なぜなら、Moment 3の新機能は次に説明する、また別の方法で提供されたからです。

Windows 11での一時的なエンタープライズ機能制御
https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/whats-new/temporary-enterprise-feature-control
【次ページ】新機能追加は企業にとってメリットなし?
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