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  • 2022/10/26 掲載

Windowsコンテナランタイム、来年のサポート体制変更で何が変わる?

山市良のマイクロソフトEYE

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2016年10月のWindows Server 2016リリースとともに始まった、Windowsコンテナのランタイム環境のマイクロソフトによるサポートに、2022年9月に重要な変更がありました。これまで無料提供されてきたMirantis Container Runtime(MCR)のサポートは、今後Mirantis社の有償サブスクリプションが提供します。この変更は、当初9月に実施予定とされていましたが、現在は、来年4月まで現状のサポート体制が延長されることとなっています。今回は、サポート体制の変更後に、ユーザーにどのような影響が生じるのかを解説します。

photo
マイクロソフトによるMCRのサポートは来年終了する

これまでのMCRのサポートと1年前の予告

 Mirantis Container Runtime(MCR)は、かつて「Docker Enterprise Edition(Docker EE)」、「Docker Enterprise」と呼ばれてきた、LinuxおよびWindowsコンテナのためのコンテナランタイムです。

 マイクロソフトはWindowsコンテナを初めてサポートしたWindows Server 2016のリリースから、当時のDocker社との契約に基づいて、Docker EEの使用権とマイクロソフトによるサポートをWindows ServerのOSライセンスに含めて提供してきました。

 Docker EEはその後、Docker Enterpriseに改称され、さらにEnterprise部門がMirantis社に買収されたあと、しばらくして、Mirantis Container Runtime(MCR)に変更されました。

 Windows Server 2016の時からの契約はその後のWindows Serverバージョンにも引き継がれ、先日までマイクロソフトによるサポートが提供されてきたわけです。そして、このサポートが2022年9月に終了し、引き続き利用するためには、Mirantis社の有償サブスクリプションに移行する必要があることが、ちょうど1年前に予告されていました。
Reminder - Updates to Windows Container Runtime Support
 すでに利用者であれば、1年前から予告されていたことなので対応済みのはずです。しかし、これからWindowsコンテナの世界に足を踏み入れようとしている人にとっては、戸惑うことが多いに違いありません。

 Windowsコンテナについて学ぼうとすると、Mirantis Container Runtime(MCR)やそれ以前のDocker EE、Docker Enterpriseに関する、Windows Serverでは無料(だった)コンテナランタイム(Dockerエンジン)の話ばかり出てくるでしょうから。Dockerエンジンを飛ばして、この後説明するKubernetesの世界に入るのも、ハードルが高すぎるでしょう。

サポート期間が来年4月まで延長することに

 マイクロソフトはWindows ServerにMirantis Container Runtime(MCR)を簡単に導入できるように、「DockerMsftProvider」モジュールを提供してきました。また、Azure仮想マシンですぐに利用を開始できるように、Mirantis Container Runtime(MCR)がインストール済みの「with Containers」イメージを、Windows Server 2016、Windows Server 2019、およびWindows Server半期チャネル(SAC、既に廃止)の各バージョンに用意し、提供してきました(1年後のサポート終了が決まっていたため、Windows Server 2022バージョンの「with Containers」イメージは提供されませんでした)。

 2022年9月のサポート終了により、「DockerMsftProvider」モジュールの使用はサポートされなくなり、Azure Marketplaceから「with Containers」イメージは削除されました(画面1)。

 ただし、その後、マイクロソフトによるサポートとイメージの削除は2023年4月30日まで再延期され、Azure Marketplaceのイメージも復活しています(未確認情報ですが、コストを支払ってMirantisとの契約を6カ月延長したのでしょう)。そのため、延期期日の2023年4月30日時点で「with Containers」イメージを使用して使用してデプロイされたAzure仮想マシンは、スケールアウトや再デプロイの際にエラーになる可能性があります。

 また、デプロイ済みのAzure仮想マシンでのWindowsコンテナの実行も、無効になったライセンス契約に基づくMirantis Container Runtime(MCR)上での実行となるため、サポートされなくなります。

画像
画面1:「with Containers」イメージは9月22日(米国時間)にいったん削除されたが、その後、再登場(使用は非推奨)

【次ページ】オンプレミスで利用可能なWindowsコンテナの運用環境は?
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