0
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
マイクロソフトの製品やサービスの名称は、昔から、そのものずばりを示すシンプルなものが多い印象があります。たとえば、「Internet Explorer」、「Word」、「Publisher」、「SQL Server」などです。まれにこれは何だという名称のものもあります。たとえば、マルチクラウドやハイブリッドクラウド向けのMicrosoft Azureの新サービス「Azure Arc」です。筆者の環境で実際に試してみました。
Azure Arcはマルチ・ハイブリッド・クラウドをつなぐ架け橋?
「Azure Arc」は、2019年11月に開催されたマイクロソフトのイベント「Ignite 2019」で初めて発表されたMicrosoft Azureの新しいサービスです。
Azure Arcという名称からは何のサービスかまったく見当が付きませんし、当時はプレビュー提供が開始されたばかりの状態だったため、ほとんど気にも留めていませんでした。
現在はすでに一部のサービスの一般提供(GA)が始まっていたことが分かり、一体どんなサービスなのか体験してみることにしました。
複数のデータセンターや複数のクラウドをまたがって広がる今日のIT環境は、一貫性のない管理ツールや運用管理が課題です。
上記の製品サイトやドキュメントによると、Azure Arcは、オンプレミスやマルチクラウド環境に分散する既存のリソースを、Azureのデプロイと管理サービスの要である「Azure Resource Manager(ARM)」に投影することで、分散する既存のリソースをあたかもAzure内で実行されているかのように一元的に管理できるようになるとあります。
Azure Arcの「Arc」には、オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境や、複数のクラウド(AzureとAWSなど)をまたがる環境を一元的に管理するための架け橋(アーク、円弧)という意味合いが込められているのだと想像します。
Azure Arcが管理対象とする4種類の環境
Azure Arcの管理対象としては、以下の4種類の環境に対応しています。
Azure Arc対応サーバ (Azure Arc enabled servers) |
Azureの外部でホストされているWindows(Windows Server 2008 R2以降)およびLinuxのマシン。 |
Azure Arc対応Kubernetes (Azure Arc enabled Kubernetes) |
Azureの内部または外部にあるKubernetesクラスター |
Azure Arc対応データサービス (Azure Arc enabled data services) |
AzureのSQLマネージドインスタンスおよびPostgreSQL Hyperscale |
Azure Arc対応SQL Server (Azure Arc enabled SQL Server) |
Azureの外部でホストされているSQL Serverインスタンス |
このうち、Azure Arc対応サーバのみが一般提供されています(課金あり)。その他のサービスはプレビュー提供中で、追加費用なしで評価可能です。
Azureの外部には、2020年12月にリリースされ、今後、OEM各社から統合システムとして提供されるAzure Stack Hubのプライベート/パブリッククラウド環境やHCI(ハイパーコンバージドインフラストラクチャ)ハードウェアに組み込まれた形で提供されるAzure Stack HCIクラスターが含まれます。
Azure Stack HubとAzure Stack HCIについては次回に取り上げる予定です。
Azure Arc対応サーバを利用可能なリージョンは限定されています。日本国内では2021年第2四半期に東日本リージョンでの一般提供が予定されています。
【次ページ】Azure Arcでできる8つの主要機能
関連タグ