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  • 2017/08/29 掲載

有料テレビが存続の危機、NetflixやHulu、Amazonに敗北か

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“カウチポテト”とは米国人の余暇の過ごし方の代表としてよく知られる言葉だ。どこの家庭にもケーブルなどの有料テレビがあり、スポーツ専門チャンネルなどを見て過ごす人が多かった。しかし、NetflixやHulu、アマゾンのプライム・ビデオといったビデオストリーミングの台頭により、カウチポテトのあり方に大きな変化が訪れ、今や有料テレビは存続の危機とまで言われる。様変わりする米国テレビ事情とは?

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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ビデオストリーミング(OTT)の登場でテレビ事情は大きく変わった
(© daviles – Fotolia)


既存の有料テレビはかろうじて均衡

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 ビデオストリーミングによる映像配信はOTT(Over The Top)と呼ばれ、アマゾン、YouTubeなど独自のコンテンツ配信を行うものから、既存の映画、テレビ番組コンテンツなどをネットを通して固定費なしにオンデマンド形式で行うNetflixやHuluのようなサービスまで幅広いものがある。

 現時点では「既存の有料テレビとOTTは均衡状態にある」と言える。最大の理由はOTTにはブロードバンド環境が必要で、ブロードバンドを提供する大手企業(電話会社のAT&T、インターネットプロバイダー・コムキャスト、ケーブル大手タイム・ワーナーなど)はほとんどが独自の有料テレビ配信サービスを持ち、インターネットと固定電話、携帯、テレビサービスをバンドルで販売している。

 利用者にとってはバンドル料金が割安になることから、敢えて契約を破棄せずに気に入った番組についてはOTTを利用する、といった方法が一般的なためだ。

 リサーチ会社パークス・アソシエイツによると、米国のブロードバンド環境を持つ世帯の50%は有料テレビとOTTの両方を利用している。有料テレビを持たずOTTのみ、という世帯は全体の14%だ。しかし、2014年から16年にかけての変化を見ると、有料テレビのみを利用、という世帯は14年には42%程度あったが、16年には30%程度にまで減少している。逆にOTTのみは10%程度から14%へと増加しているのだ。

 興味深いのは、過去3年間で有料テレビを解約した世帯の33%が「もしOTTサービスがバンドルとして提供されていれば、解約しなかった」と回答していることだ。幅広いチャンネルを提供する有料テレビではあるが、見たいと考える番組はその中の一部に過ぎない。そのために固定費を支払うよりも、OTTでその都度見たい番組や映画を見る方が魅力的、と考える人が増えている。

危機に瀕するのは有料テレビだけではない

 さらに減少の危機に瀕しているのは有料テレビだけではない。地上波による通常のテレビ番組配信は有料テレビ以上に視聴者を減らしている。最近ではPCではなくOTTをテレビで見る世帯が増えているが、特に18~24歳の層では「テレビでOTTを見る」のが27%。25~34歳では28%。この数字はその後年代が上がるにつれて減少し、65歳以上では10%にも満たない。逆に地上波放送を見る、というのは55~64歳の層が最高で24%となる。

 つまり今後OTTに親しんできた若い世代が年齢を重ねるに連れ、有料テレビと地上波はまさに「存続の危機」にさらされることになる。

 これは米国だけではなくグローバルな現象で、ブロードバンドTVニュース社の予測では、グローバルなOTTサービスによる売り上げは2021年にはおよそ650億ドルに達する、という。

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世界のOTT市場の見通し
(出典:Broadband TV News)


 2010年のおよそ50億ドル、15年のおよそ300億ドルから急激な成長が見込まれている。特に今後の成長が見込まれているのは、日本を含むアジア太平洋地域だという。

【次ページ】コンテンツの「力学」も大きく変化

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